05年5月、インドネシア・アチェで。写真=筆者撮影
04年末、スマトラ沖大津波に襲われたアチェ。翌05年8月の和平調印で終止符が打たれるまで30年間に渡って、分離独立を掲げる武装勢力「GAM(アチェ自由運動)」と政府軍との間で内戦が続いていた。
武装勢力の拠点とされる山間部の村から、政府軍によって強制移住させられた人々は数え切れない。あてがわれた地区の新居は、弱々しい木材の柱にビニールシートを被せただけの粗末なものだ。シートは穴だらけで空も見えれば雨も降り込む。人間らしい暮らしにはほど遠い世界があった。子供を抱く母親はそれでも穏やかな笑みを浮かべていた。