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2009年10月10日

ノーベル平和賞 オバマの対イスラエル、アフガン政策


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ソ連軍戦車の残骸。米国もソ連と同じ轍を踏んでいる(ジャララバード街道で。写真=筆者撮影)


 今年のノーベル平和賞がオバマ米大統領に贈られることに水を差すつもりも茶化す気持ちもない。イラン、パキスタン、北朝鮮など国際社会のコントロールが効かない国々の核開発が周辺諸国に脅威を与えていることを考えれば、一日も早い「核なき世界」の到来が待たれる。

 世界のタブーに挑戦するオバマ大統領のスピリットには頭が下がるが、拭い去れない疑念もある。ひとつは、イスラエルに核放棄を飲ませることができるか、ということだ。八方敵に囲まれたイスラエルに核を放棄させるのは至難の業だ。

 一方イスラエルが核を保有している限りイランは核開発を続ける。ノドから手が出るほど外貨が欲しい北朝鮮はオイルマネーで潤うイランに技術援助する。イランの核開発が一定の域を超えれば(すでに超えているとの分析もある)、イスラエルは迷うことなくイランの核施設を爆撃するだろう。

 実際、1981年には完成間近と見られていたイラクのオシラク原発を空爆で破壊している。精密誘導弾などない時代に空軍パイロットの熟練した技だけで地下核施設を破壊したのである。いったん地中に潜ってその後爆発する爆弾(今で言うバンカーバスター)が世界で初めて実戦使用されたのだった。
 
 イランはイスラエル軍の精強さを知っているから、より強硬になる→核開発、核運搬手段としてのミサイルの開発をさらに進める→イスラエルはイランの核施設攻撃に向けて着々と準備を進める→恐怖の悪循環だ。

 もうひとつの疑念は米国の対アフガニスタン戦略である。タリバーンのスポークスマン、ムジャヒード氏は「オバマ大統領はアフガニスタンを安定させ平和に導くための一歩さえ踏み出していない。今年のノーベル平和賞は不当だ」と非難する声明を発表した。

 アフガニスタンは突付いてはいけない国だった。タリバーンの攻勢は、首都カブールさえも陥れそうな勢いだ。世界最強の米軍を中心に42カ国の軍隊(兵力6万7700)を持ってしても押さえきれないのが、アフガニスタンだ。

 アフガニスタンだけが不穏であるならまだしも、米軍がパキスタンとの国境の部族地帯にまで空爆を強化したため、パキスタンにまで戦域が拡がってしまった。軍事政権で元来不安定だったパキスタンがさらに物騒になった。警察施設、欧米人が宿泊するホテルなどが爆破テロに遭うありさまだ。

 パキスタン国軍の半分はイスラム原理主義者と云われる。さらに国家内国家とも言われるISI(3軍統合情報部)は、タリバーンを育てた組織である。不安定この上ないパキスタンのズサンな核管理。軍中枢(ISI)と密接不可分の関係にあるタリバーンが核を手中にするのは、あり得ないことではない。

 イスラエルに核を放棄させるのは、オバマ大統領とて不可能だ。太陽を西から昇らせるに等しい。アフガン、パキスタンの安定化も今となっては「覆水盆に返らず」だ。

 オバマ氏に贈られたノーベル平和賞は「期待料」込みであるにしても、あまりに重い。
posted by 田中龍作 at 14:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 平和 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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