
サンマの買付けに来た小売業者は高値に辟易としていた(6日、築地市場。写真:筆者撮影)
大衆魚の代表格であるサンマの高値が話題を呼んでいる。スーパーで「1尾=340円」などと庶民には目もくらむような値段だ。筆者は真相を探るべく築地市場に自転車を走らせた。
築地市場関係者によれば、昨年は「キロ=800円」だった卸値が今年は3500円だ。4倍強である。スーパーの買付け担当者は「サンマのイメージとは違う。今日は買いません!」と言い切った。店に出す時の値段は、小ぶりの物で300円、大ぶりで500円だそうだ。「高いので売れない」と恨めしげにサンマを見つめた。
築地市場に半世紀余りも店を構える仲卸業者「山治」の山崎泰弘専務が解説する――
「異常気象の影響で水温が高くなっている。サンマが好む水温は12〜13度C。『棒受け漁』と言ってサーチライトを海中に向けて照らし上がってきたサンマを捕獲するのだが、水深が浅い所の水温が15度以上もあるので、サンマは深い所から上がって来ない」。
高値の最大の原因は、水揚げ量の少なさにあるようだ。
マスコミはじめ世の中は「サンマが高い高い」と喧しいが、長年サンマを扱ってきた山崎専務は平然としている――
「7〜8年前もこういうことがあった。『高い高い』と報道されると人は買わなくなる。そもそも『サンマ商戦』は盆明けだった。『初サンマ』と騒ぎ過ぎ。台風が来て海を掻き回せば、水温も下がって(大量に)獲れるようになるよ」。
庶民は秋風が吹き始める頃まで我慢した方が良さそうだ。