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2010年09月13日

第6弾・大手メディアの世論調査を疑え〜過去の例を見ても


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菅首相の街頭演説。動員も含めて聴衆の数はそこそこいるが、突っ立っているだけ。拍手もコールもなかった。(11日、JR有楽町駅前。写真:筆者撮影)


 選挙の現場を30年近くも見ているが、今回の民主党代表選ほどマスコミの世論調査と国民の生の声が乖離しているケースは例がない。昔話も交えてひも解いてみよう――。

 候補者に対する有権者の期待度が鮮明に現れるのが街頭演説だ。先ず聴衆の数。関心のない候補の演説に人々は足を止めない。関心があれば立ち止って耳を傾ける。聴衆の数は人気のバロメーターだ。陣営はそれを測るために敵候補の街頭演説に斥候を出すのである。

 2007年の東京都知事選挙は3選を目指す石原慎太郎候補に前宮城県知事の浅野史郎候補が挑んだ。準備不足や陣営の構築がうまく行かなかったことがたたり、浅野氏は序盤から劣勢に立たされた。街頭演説に耳を傾けるのは、かねてより浅野氏を知る人などに限られている時もあった。道行く人が見向きもしないのだ。
 
 結果は281万票対169万票で浅野氏の惨敗だった。

 ただし聴衆の数が多くても陣営が動員をかけていることが多いので、それを差し引く必要がある。

 1999年の都知事選挙で当時政権与党だった自民党は前国連事務総長特別代理の明石康氏を推した。上野公園前で行われていた明石候補の街頭演説は1週間後に出る選挙結果を予見させていた。聴衆の数はやたらと多いのだが、仕方がなく突っ立っている人ばかりが目立った。明らかに動員だった。この選挙で明石氏は惨敗、石原都知事が誕生したのである。
 
 産業現場の声も大きなバロメーターとなる。社会党の土井たか子委員長をして「山が動いた」と言わしめた1989年の参院選は象徴的だった。日本政府が米国の圧力に押されて「牛肉・オレンジの輸入自由化」を飲んだ直後の国政選挙である。

 自民党の大票田である農家の怒りは凄まじかった。筆者は情勢取材で四国地方のみかん山を歩いた。農家のオッチャン、オバチャンは「今度ばかりは自民党には入れない」と異口同音に語った。目を充血させて話す若い男性後継者もいた。果たせるかな自民党は大敗、参議院において与野党が逆転したのである。

 以上を今回の民主党代表選挙に当てはめてみよう。菅首相の街頭演説に聴衆はそこそこ集まっているが、全くと言ってよいほど熱気は感じられない。多くは「菅さん支持」と答えるものの、「カネで問題のある小沢さんよりマシ」「首相が変わり過ぎるのは良くない」という消極的な理由で支持しているに過ぎないのである。

 菅首相の経済無策に対する悲鳴が中小零細企業を中心にあがっている。築地市場を訪問した小沢前幹事長に対して、ある仲卸業者は「こう景気が悪くちゃどうしようもねえ。小沢さんの力で景気を良くして下さい!」と懇願した。

 街頭演説での熱気、生活がかかる産業現場の声を見聞きする限り、大手メディアが囃し立てる『世論の7〜8割が菅首相支持』は、かけらもない。


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posted by 田中龍作 at 11:49| Comment(0) | TrackBack(0) | ジャーナリズム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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