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2011年03月16日

  「東電情報隠し」の裏で進行する放射能汚染  〜その2〜

写真
記者団に連日詰問され疲れ切った様子の広報担当者。(16日、東京電力本店。写真:筆者撮影)。


 福島原発事故をめぐる東電の発表姿勢は先ず「最善のシナリオ」を提示することだ。

 16日午前の記者会見では、朝から白煙が立ち上る3号機について記者団の質問が集中した。3号機は14日、水素爆発を起こし建屋が吹き飛んだ代物だ。満身創痍と言ってもよい。

 使用済み核燃料プールの水温上昇について聞かれた広報担当者の回答が東電の姿勢を象徴している―

 「使用済み核燃料プールは水深7〜8mの水が確保されている。7〜8mの水が全部蒸発するほどの熱量を核燃料が持っているか、というとはっきりしない(中略)・・・3号機の使用済み核燃料プールに保管されている核燃料が、原子炉で使用され核分裂していたのは昨年の6月18日以前。その後、定期点検で取り外され9か月間ほど冷却されているので・・・」

 広報担当者は「長期間冷却しているのでプールの温度は上がらない」と言いたげだった。

 すかさず筆者は問うた。「東電はいつも最善に触れた場合の発表ではないか。ところが実際に起きていることは最悪の事態だ。核燃料が露出した場合どうなるのか?住民に対して国民に対して説明して下さい」と。

 広報担当者は専門用語を織り交ぜながら説明した。最後には「放射性物質が排出される」と自身の口で語った。

 3号機は間もなく核燃料プールの水を冷却できないことが分かり、自衛隊の大型ヘリが空から散水することになった。だが上空の放射能レベルが限界値を超えているため中止となった。

 打つ手なしとも言える。放射性物質が排出されることも覚悟しなければならない。繰り返して言う。東電が「最善のシナリオ」を発表しても、実際に起きていることは最悪を超えた事態なのである。

 東電のマヤカシに騙されたのが菅首相だった。地震・津波発生翌日の12日に福島原発を訪問した首相は東電から「大丈夫ですよ」と言われ、それをそのまま国民にアナウンスしたのだった。

 政府首脳が言う「過剰反応しないで」「冷静に」では、国民の不安は募るばかりだ。最悪の事態を想定して「こうなった場合はこういう手を打ちます」と説明するのが国民の生活を預かる政府の仕事だ。


 ◇
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posted by 田中龍作 at 21:24| Comment(5) | TrackBack(0) | 災害 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
原発の構造についてなんの専門知識もなく放射汚染のしっかりとした根拠も持たず、このような記事をよく書けますね。フリージャーナリスト?一般人と変わらない(より程度の劣る)推論のみで情報を発信しないでください。ちゃんと調べて勉強してから物を書いてください。職業でやっているのでしょう?ただ不安を煽るだけの記事でないという説得力がまったくない。
Posted by やまだ at 2011年03月17日 00:09
ニコニコ動画が昨日、生中継をしていましたね。難しい専門用語だらけでわからないので、途中で見なくなりました。

こういう会見の時は、後から検証する方法と、問題の本質論が重要になる。
この記事では、
「最悪のケースの場合は、東電や国は、このような事を想定し対応する」
という事を「リーダー」が「責任」を持って対応する事でしょう。

それを「煽る」とかは、一面的には正しい判断かもしれないが、そういう「先送り判断」が生んだ結果が、原発の不安を高めている原因でもある。

最悪の想定を考慮して、情報発信をして「防災」するのも、リーダーの仕事ですからね。
Posted by 防災という意識 at 2011年03月17日 08:34
権力以上に権力的な新聞・テレビの記者だけに報道を任せていい訳ではありません。
        ↑
その通りです。
自由に文字を書けないなんて民主主義じゃない。
事実を言わないから、書かないからこんな国に
なったんです。
支援させていただきます。
やまださん?批判はいいから、原発がこれから絶対事故を起こさない方法を披露してはいかがですか!
Posted by ふくおか at 2011年03月17日 18:01
田中さんのジャーナリストとしての見解に賛成です。
東電側の最善に対して国民目線の最悪のシナリオ。現在米国出張中ですが、こちらでのメディア報道は「この世の終わり」的な表現ばかりで、昨日MSNBSのニュースではコメンテターにおいては日本のオフィシャルは信頼できないとまで言い放っていました。
ところで、東京の家族に国際電話を入れると反応は平時と変わらない状況でしたが、これは日本とアメリカを代表する英語圏の文化の違いからかもしれません。
国民がパニックになるのを恐れ、情報をコントロールする官邸、それに対し先ずは最悪の事態を国民に知らせ、そこから現状を伝えようとする米国。
先ほど大手インドIT企業の日本支社長をつとめるインド人に確認したところ、何故日本では最悪の事態がどうなるか知らせようとしないのか怪訝に思っているとの事でした。同社で日本に滞在していたインド人社員は最悪の事態に怯え既に皆本国に帰国したそうです。
信頼スジから最悪の状況を知らせられないと疑心暗鬼でこんな国には居られないということです。
国民目線で最悪のシナリオを問う田中さんの姿勢は評価できます。
原発の知識なんて専門家に聞けばいい話です。
                       以上


Posted by 白石 at 2011年03月18日 19:20
欧米とかと違って日本人は他者に翻弄されやすい点があると思っています。
いわゆる多数が右を向くと自分も向いてしまうというやつです。

そういう意味でいくと確かに最悪ケースは必要だと思いますが、暴動こそ起こさないとは思いますがパニックに陥りやすいでしょうね。

そういう意味で各メディア・ジャーナリストには客観的な事実と主観的な意見を明確に分けて表現してほしいですね。

しばしば客観的な事実を曲げて主観的な物事をあたかも客観的事実のように表現されているため情報に踊らされてしまうことが多いと思います。

視聴率や注目を集めたいのか知りませんが、真実を報道するのがジャーナリストやメディアの本質ではないでしょうか?

田中さんもそういう点がありますよね。
ネタを軍事ジャーナリストから入手してあたかもそれが真実であるという表現をされていますが、
それこそ今の管政府がやっていることと同じということにどうか気づいてください。
Posted by 国民性もあるんでしょうね at 2011年03月18日 23:13
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