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2011年04月26日

「怒りしかない」 福島農民が東電前でムシロ旗

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「このキャベツをどうしてくれるの?」農家の女性たちの顔は怒りでこわばっていた。(26日正午ごろ、東京電力本店前。写真:筆者撮影)


 東京電力福島原発の爆発事故で被害に遭った福島県の農民150人が野菜や牛乳を東電本店前に持ち込んだ。「東電は俺げの田んぼ汚した 許さねえ」などと書いたムシロ旗を林立させ抗議した。

 昼休みのサラリーマンやOLが行き交うビジネス街に怒号が響いた。「原発事故は人災だ」「東電が安全管理を怠ったために我々は塗炭の苦しみに追いやられた」……。キャベツを手にした女性たちの顔は怒りからだろうか、青白く頬がこわばっている。

 20〜30キロ圏内の葛尾村で酪農に従事していた佐久間るり子さんは、現在福島市の避難所で暮らす。2日に1度、乳牛にエサを与えに葛尾村に帰る。

 牛に食べさせるのは栄養のないエサが中心だ。栄養に富んだエサだと乳がたまるからだ。乳がたまると発熱して死ぬ。売れないので搾ることはできない。

 「牛が日に日に衰弱しているのが分かる。生かすことも殺すこともできない」。佐久間さんは涙をぬぐいながら語る。

 「東電と政府には何と言いたいか?」と尋ねると「早いうちに被害が発生しないようにしていてほしかった。事故がなかったら普通に酪農ができていた」。彼女は唇を震わせた。

 「怒りしかないよ」と声を荒げたのは南相馬市で稲作を営んでいた木幡信雄さん(66歳)だ。現在は山形県鶴岡市の雇用促進住宅に住む。

 「いつもの年だったら来週頃から田植えが始まっていた」。木幡さんは悔しくてたまらなさそうだった。

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千葉県の元酪農家が乳牛を連れて応援に駆け付けた。「仲間が困っているのに黙っているわけにはいかねえ」。(26日正午ごろ、東電本店前:筆者撮影)


 今回の原発事故により“農業を続けて行けなくなった”と自らの命を絶った人もいる。須賀川市の樽川美津代さん(61歳)は夫・久志さん(64歳)の遺影を抱いて抗議行動に参加した。夫の久志さんは、事故後まもなく先行きを悲観して首つり自殺した。

 「原発はすぐにでも止めてほしい」。美津代さんは声をつまらせた。

 政府や御用学者がいくら「ただちに人体に影響があるものではない」と強弁しても、汚染された土壌での農業は難しい。

 ひとたび事故を起こせば周辺地域の人々の生活を根底から破壊するのが原発だ。電力業界、財界、政界、マスコミは40年間に渡って「エネルギー供給のため」「エコでクリーン」とプロパガンダを繰り広げてきた。今回の事故をきっかけに、本当に必要なのかを考え直さねばならない。


 ◇
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posted by 田中龍作 at 20:31| Comment(2) | TrackBack(0) | 災害 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
もうひとつの視点としては、東京で贅沢に「電気」が使えるのは、福島の犠牲の上に使えるという事。

だから、本来ならこうした指向性をもって都民に訴えるべきであろう。

誰かの便利は、誰かの犠牲の上に立つ。
これは、今の利権や癒着の全てに通じる事だ。
Posted by 犠牲の上に at 2011年04月27日 22:42
農地について、とても気の毒ですね。代替地を確保するとか、土地の除染をして(除土)、作付け可能と確認された農地を使うとか、その費用については東電が出すことで解決できないものでしょうかね? 

フリーの記者様として、がんばっておられますね。何らか、ニーズアセスメントをしてみんなが欲しがっている情報を取材すると言う形でもよいかもしれません。例えば、○○の損害賠償請求の進行状況 とか都内の受け入れ施設や福島から転居してきた場合の支援スキームを 少し整理してのせるとか。みんなが知りたい事を聞いてみるとか。合同記者会見における江川詔子さんの質問は、まさにみんなが知りたかった事でした。少し、エンターテイメントな内容、明るい、楽しい内容も盛り込んで。人間は楽しい事が大好きなので。
Posted by はな at 2011年04月30日 21:34
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