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2010年05月11日

鳩山政権迷走で派遣法改正は風前の灯火

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「派遣切りを放置するな」。抗議の声を挙げる派遣労働者たち(国会前で。撮影:筆者)


【ハケンという蟻地獄】
 鳩山政権に裏切られたのは沖縄県民ばかりではなかった。派遣法の抜本改正に期待を寄せていた派遣労働者たちが今、大きな不安に苛まれている。

 沖縄県民同様、民主党への不信感や怒りを募らせる派遣労働者ら50人余りが、国会前に集結した。雨の降りしきるなか「派遣切りを放置するな」「今国会での成立を急げ」と抗議の声を挙げた。

 派遣法の抜本改正は、夥しい数の派遣労働者が職と住まいを同時に失い社会問題となった「派遣切りの惨劇」を繰り返さないための法改正だ。民主党はマニフェストに掲げて昨年の総選挙を戦い、政権奪取後は国民新党、社民党との3党合意にも盛り込んだほどの重要法案だった。

 抜本改正の背骨は、仕事がある時だけ雇用関係を結ぶ「登録型派遣の禁止」と労働者を使い捨ての部品同然に扱う「製造業への派遣禁止」だ。抜け穴だらけだが、従来よりも派遣労働者の待遇が格段に向上することから、彼らは歓迎した。対象は120万人にも上るものと見られる。

 ところが「普天間問題」や「政治とカネ」などで鳩山政権が迷走を続けているため、「改正派遣法案」の審議は4月23日に衆院厚生労働委員会でたったの一度行われただけだ。まさに店ざらしの状態なのである。

 夏の参院選では民主党の敗北が予想されており、連立の枠組みが変わる可能性もある。派遣法の抜本改正に本腰を入れていた社民党と国民新党のいずれかが連立政権から離脱したり、政権内での発言力が弱まったりすることもあるのだ。そうなれば、民主党が大労組を抱えて及び腰であることから、派遣法の抜本改正は水泡に帰す恐れもある。

 千葉県内の非正規労働者のユニオン幹部は「(派遣法改正は)風前の灯火だ」と危機感を募らせる。派遣法改正は今国会で成立させる必要があるのだ。

 日雇い派遣で引越しの仕事に携わっている男性(41歳・練馬区)は、1日8時間働いても手取りが5千円を切る。不況で派遣会社がダンピングするからだ。しかも仕事があるのは週末の3日だけという。「派遣法改正をダラダラと延ばさないで下さい。政治の力を私たちに貸して下さい」、男性は声を絞り出すようにして訴えた。
posted by 田中龍作 at 18:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 派遣 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月01日

新聞・テレビが報道しなかった非正規労働者のメーデー

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チラシを配り実情を訴える非正規労働者ら(1日、東京有楽町で。撮影:筆者)


【ハケンという蟻地獄】
 非正規労働者ら(主催:全国ユニオン)が1日、都内の繁華街で労働条件の改善を訴えた。一人でも入れる労働組合である全国ユニオンは、大組織の「連合」とは別個にメーデーを開いている。製造業への派遣が解禁された2004年の前年から開催し、今年で8回目となった。
 
 「ハケン切り」で社会問題になった派遣労働をめぐっては、政権交代により「労働者派遣法」が抜本改正されることになった。仕事がある時だけ雇用される「登録型派遣」や「製造業(メーカー)への労働者派遣」の原則禁止である。

 ところが原則禁止とはいえ実施時期は法令の公布から3〜5年の猶予期間がある。さらに改正法案では「常時雇用する労働者でない者については、労働者派遣を行ってはならない」とされているが、常時雇用の定義があいまいなため事実上は有期雇用となる。「派遣先で違法行為、脱法行為があった場合は直接雇用が義務付けられる」が、派遣元の条件に基づいてである。

 改正派遣法は抜け穴だらけなのだ。全国ユニオンの鴨桃代会長は「細かい所は骨抜き」と奥歯を噛む。

 非正規労働者らは新宿駅西口、有楽町マリオン前、秋葉原などで「雇い止め」や「交通費込みの賃金」など劣悪な実態を訴えた。非課税の交通費が課税対象となる賃金に含まれると、手取り収入が減るのである。もともと低賃金の非正規労働者にとっては踏んだり蹴ったりだ。

 もっとひどいケースもある――20代の男性は千葉市の清掃会社でアルバイトとして働いていた。給料は小額がさみだれで渡されていた。会社側が男性をつなぎ留めておくためだ。給料の不足分は4ヶ月で25万円にもなったため、男性は非正規労働者のユニオンに駆け込んだ。
 
 ユニオンが清掃会社の経営者に掛け合ったところ回答がふるっていた。「小額訴訟の裁判を起こしなさいよ。やり方は私が教えてあげるから」。

 労働基準監督署はさらにいい加減だった。「確かにあの会社はひどいんだ。裁判を起こした方がいいよ」。労基署は自らの役割を放棄したようなものだ。

 非正規労働者が置かれた実態を象徴するような両者の対応である。

 彼らから見ればまさに雲上人の「連合」傘下の労働者が前日の4月30日、代々木公園でメーデーを開いた。新聞・テレビは各社が取材に訪れ大々的に報道した。非正規労働者のメーデーを取材・報道したのは筆者一人だけだった。
posted by 田中龍作 at 16:23| Comment(1) | TrackBack(0) | 派遣 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月10日

亀井大臣「非正規職員を正規に」、貧困層減らし経済の底上げを 

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非正規職員を前に「遠慮なく話して下さい」と語りかける亀井大臣(9日、東京・赤坂郵便局。写真=筆者撮影)


 「非正規職員を原則正規職員とする」との方針を衆院予算委員会で明らかにした亀井静香金融・郵政担当相は9日、東京・赤坂郵便局で非正規職員20人の声を直接聞いた。

 日本郵政グループの非正規社員は20万人強で全体の47%をも占める。労働力の半分近くを非正規社員で賄っている状態だ。「小泉・竹中」の郵政改革で非正規化が一気に進んだからである。

 赤坂郵便局の会議室には都内の郵便局で働く非正規職員20人が集められ、亀井大臣はじめ国民新党の国会議員と意見交換した。国民新党は郵政改革の見直しを党是とする。

 意見交換を終えた亀井大臣は記者団に「(非正規社員は)厳しい生活をしている。先が見えない生活。あれじゃ結婚しようにもできない」などと感想を話した。

 派遣の全面解禁に代表される労働法制の規制緩和は、郵政改革と並ぶ「小泉・竹中改革」の象徴でもあった。「派遣切り」という言葉が流行語大賞になるほど雇用不安が社会に蔓延した。

 「非正規職員を正規職員にすると経営が悪化する」という指摘がある。一見ごもっともだが、結果はどうなったか――

 会社の株価を上げるために内部留保を増やす→リストラ奨励。派遣は全面解禁→ほんの一時期、景気は上向きかかったが、リーマンショックの一突きで日本経済は戦後最悪の不況に沈んだ。ごく一握りが豊かになるだけの経済構造は、脆くて薄っぺらいものだった。皆で貧しくなってしまったのだ。

 かつて日本経済は第1次オイルショック(1973年)を逆手にとってさらなる成長を遂げた。終身雇用制によるコスト高を吸収するためには生産性を高めなくてはならない。このため技術革新を重ねた。国際競争力は高まり日本製品は世界市場を席捲するに至ったのである。

 非正規社員を正規社員にすることで企業の足腰を強くする。貧困層を減らし経済を底上げできるようなビジネスモデルを作り上げる必要がある。
posted by 田中龍作 at 13:24| Comment(1) | TrackBack(0) | 派遣 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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