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2011年01月04日

首相年頭会見 “菅さんにつける薬はなかった”

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菅首相。首相官邸でフリーが記者席から首相を撮影することはご法度となっています。写真は民主党本部で昨年末、撮影したものです。(筆者撮影)


 菅直人首相の年頭記者会見は、お屠蘇気分も吹き飛ぶほど質が悪くレベルの低い内容だった。話せば話すほどこの人物の認識のなさがさらけ出された。

 冒頭から「今、世界の国々が日本に追いつけ追い越せでやっている」ときたのだ。「ジャパン・アズ・ナンバー・ワン」などと持て囃されたのは30年も前の話である。日本を失敗モデルとして研究しても、見習おうなどと思う国は今やない。世界から置いてきぼりにされそうになっているのが現状である。菅さんの脳は30年前から「上書き」さえできなくなっているのだろうか。

 驚きは続いた。首相は「社会保障への不安が広がっている。財源確保のために消費税を含む税制の見直しを真剣に考える必要がある」と言ったのである。

 筆者は怒りが込み上げた。増税の前にやらなければならないことが山とあるだろう。「議員定数の削減」「公務員給与の削減」・・・これらは民主党が政権を獲得した総選挙(09年)のマニフェストで謳い、国民から一票を頂いた約束事ではなかったのか。

 異様だったのは記者クラブメディアが消費税増税について一言も質問しなかったことである。新聞・テレビは昨年末あたりからやたらと消費税をはじめとする増税を煽っているが、いみじくも符号する。

 呆れる発言は続く。菅氏は「政治とカネを何とかしなければ日本の政治はおかしくなってしまう」として「小沢元代表は国会でキチンと説明して頂きたい」と力を込めた。

 一国の総理とあろう者が、党内のゴタゴタを年頭演説に盛り込むのである。英語に翻訳され世界を駆け巡った時、日本の指導者の政治理念が低いことを改めて知らせるだけではないか。

 首相は畳み掛けるように自らの認識のなさを露呈した。「政局中心になり過ぎていて十分な国会審議ができなかった。国会で政策的な議論はなく(野党が)解散・総辞職を求めていることは国民の期待に合わない」。

 菅政権の外交や財政などでの不手際は突っ込みどころ満載だった。瀕死の政権与党を攻めて解散総選挙に追い込むのが野党の仕事である。野党にとって願ってもない展開となったのは一に菅首相の指導力のなさである。それは省みず、自分が与党になったら野党に対して「政局は止めて政策論議に集中せよ」というのである。菅さんらしいご都合主義だ。

 “バカにつける薬はない”と言うが、菅さんにつける薬もないようである。

 記者クラブの総本山にあたる内閣記者会からの質問は、「内閣改造と党人事」「小沢氏への離党勧告・議員辞職」「仙谷官房長官、馬淵国交相への問責」「予算」などに終始した。菅首相が説明したいものばかりだった。

 フリー陣営からは上杉隆記者が「記者会見のフェアなオープン化はどうなっているのか?」と質した。菅氏は「私の記者会見はオープン化しており、閣僚懇でも指示している」とニベもなく答えた。最後まで現状認識のなさをさらけ出す首相だった。


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posted by 田中龍作 at 15:25| Comment(1) | TrackBack(0) | 政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月29日

B型肝炎原告団が厚労省前で座り込み  

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寒風が吹き付けるなか原告団はキャンドル・チェーンで厚労省を包囲して抗議した。(28日夕、霞ヶ関。写真:筆者撮影)


 B型肝炎の原告団が国家賠償を求めて厚生労働省前の日比谷公園で28日から座り込みを始めた。

 C型肝炎訴訟や薬害エイズ訴訟の際も原告団が政治決着を求めて同じ場所で座り込んだ。まるでデジャブを観ているようだった。医療行政の怠慢は何度繰り返されれば済むのだろうか。

 B型肝炎訴訟は昭和20年代から始まった集団予防接種で注射器の回し打ちをしたためウィルスに感染した被害者が国を相手取って損害賠償と謝罪を求めている裁判である。集団予防接種は国が法律で強制したものであるから原告団は国の責任を問うているのだ。

 札幌、東京、大阪、福岡で原告613人が訴えを起こす集団訴訟となっている。このうち札幌地裁が和解を勧告していることもあり、仙谷由人官房長官と細川律夫厚労相は共に「年内決着を図りたい」としていた。

 ところが菅政権の迷走と民主党のお家騒動で「年内決着」はどこかに飛んで行った。もともと厚労省は因果関係や損害賠償にかかる費用などを理由に和解に消極的だった。B型肝炎の被害者は全国で120〜140万人いるとされており、原告団は一律救済を求めている。

 27日の和解協議で国側から何の条件提示もなかったことから、原告団は菅首相の政治決断を強く促すために座り込みを始めたのである。

 全国原告団の谷口三枝子代表(61歳)は厚労省に向かって声を振り絞った。「国が誠意を尽くしてきたとは思えない。大切な和解協議に何度も国は手ぶらでした。菅首相、私たちを寒空の下にさらして最小不幸社会と言えるのですか?菅首相が政治決断をするまでこうして命を削りながら抗議行動を続けます」。


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「政権取ったら早期解決するって言ったやないね」。山ノ井・前厚労政務官=左=に詰め寄る窪山さん=右側中央=(28日、日比谷公園。写真:筆者撮影)


 「命の限りここで座り続けるぞ」と決意表明したのは九州原告団の窪山寛さん(64歳)だ。窪山さんは4年前、肝臓ガンを発症し、主治医から「来年4月までの命」と宣告されている。

 窪山さんは山ノ井和則・前厚労政務官に厳しく迫った。野党時代、医療問題に取り組んでいた山ノ井氏は「我々が政権を取ったらB型肝炎訴訟を早期解決する」と約束していたからだ。

 「民主党は命を大事にしてくれるつもりはあるのか。そのために一票を入れたんやけんね。国民の命を大事にせん政権は持たんけんね。『自分たちが政権を取ったら早期解決する』って言ったやないね」。

 山ノ井氏はただ項垂れるばかりだった。

 28日夕方、原告団は初めて細川厚労相に会うことができた。早くも座り込みの成果が出た格好だ。だが細川大臣の口から出たのは「年内の解決が図れずに申し訳ない。1月11日に裁判所の所見が出るのを待とう」。

 細川大臣もこういう他ない。仙谷官房長官の問責や小沢元代表の政倫審出席問題などのゴタゴタで内閣が機能していないからだ。

 弁護団の一人は「(政府の)誰に言ったらいいのか分からない」と頭を抱える。

 窪川さんのケースが象徴するように原告団は時間がない。政治決着で早期解決を図る他はないのだ。原告団は政府から納得の行く回答が出るまで24時間体制で座り込みを続ける。寒風吹きすさぶなか体力を消耗し免疫力が低下すまいかと心配だ。


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2010年12月20日

場当たりの菅首相、展望なき「小沢追放」

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「菅-小沢会談」について説明する岡田幹事長。(20日午後4時、民主党本部。写真:筆者撮影)


 民主党が崩壊に向けて坂道を転がり始めた一日だった。午前11時ちょうど、小沢一郎・元民主党代表を乗せた「トヨタ・アルファード」が首相官邸に滑り込んだ。濃いスモークガラスのため車中の小沢氏は見えない。

 支持率低迷に苦しむ官邸の主は、危険水域の20%台さえ維持するのが困難な状況だ。「小沢切り」で3度目のV字回復を図ろうというのがこの日の会談のねらいだった。

 菅首相は扱いを誤ると大惨事のおそれがある「小沢氏問題」をこれまで岡田克也幹事長に丸投げしてきた。一転自ら説得に乗り出したのは「小沢切りでリーダーシップを発揮した」と見せる演出だ。

 首相は小沢氏に政治倫理審査会への自発的な出席を要請した。「拒否されるようであれば党として重大な決定をすることもある」と迫った。

 だが小沢氏は「刑事裁判で身の潔白を証明したい」などとして政倫審への出席を拒否した。

 1時間半にも及んだ会談は物別れに終わった。大方の予想通りの結果である。

 【国民不在の質問に終始する記者クラブ】

 午後3時から開かれた役員会は「菅-小沢会談」の相似形だった。

 親小沢グループの輿石東・参院幹事長は「小沢さん本人が出ないと言ってる。自民党、公明党は(招致の)議決に欠席する。(政倫審が開かれない可能性が高いのに)どうするんだ?」と反対した。

 岡田幹事長は「自民党、公明党を説得する」と答えたという。来週まで経過を見るというのは説得工作に要する時間を指しているのだ。

 役員会で一定の方向が出るのではないか、と注目が集まった。役員会の後、午後4時から始まる幹事長記者会見にはメディアが大挙した。夕方のニュースに突っ込もうとするテレビのクルーが目立つ。

 記者団からの質問はあいも変わらず小沢氏を追い込む趣旨のものばかりだ。要約すると「いつまで結論を出すのか?」「処分はあるのか?」「野党は証人喚問を要求しているが?」となる。

 記者クラブメディアの質問は菅政権と同じで国民のことなどこれっぽっちも考えていない。無能な菅首相と大手メディアが抱き合い心中をやるのは勝手だが、国民を巻き込んでほしくない。いたたまれなくなった筆者は次のように質問した―

 「国民の怒りは『小沢さんの政治とカネ』よりも菅政権の不手際に向いている。仮に小沢さんを政倫審に出席させることができたとしても、国民の民主党に対する不安は拭えないと思うのだが?」。

 岡田幹事長は「政治とカネがすべてではないがそれも一部にある。小沢さんの問題を保留していては民主党への信頼は生まれない」と答えた。(民主党ホームページに動画が掲載されているので視聴して頂きたい)

 【何が起きても不思議ではない】

 長らく菅直人氏に仕えたあげく裏切られた、ある民主党関係者は次のように解説する―

 「12月は仙谷官房長官と馬渕国交大臣への問責を『小沢・政倫審』で交わすことができたが、1月はそうは行かない。通常国会前の議運の召集は官房長官の役目。だが参院で問責を受けている仙谷さんが参院の議運に出るわけにはいかない。そうなれば内閣人事の入れ替えで凌ぐだろう」。

 この関係者は、1月にもありうる小沢氏の強制起訴を受けて、菅政権が離党勧告する可能性もあると話す。さらに次のように付け加えた。「社民党に帰ってきてもらう一方で自民あるいは公明の抱き込みを模索する。『その場しのぎ』で何でもする菅さんだから、これから何が起きても不思議はない」。

 菅直人という仮免ドライバーは交通事故を幾度も起こし多くの国民を不安に陥れた。今度は民主城の仮城主ということを忘れ、城を建ててくれたかつての主を追い出そうしている。追い出した後の領民の生活など全く考えないまま・・・。


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posted by 田中龍作 at 23:54| Comment(0) | TrackBack(1) | 政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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