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2010年11月16日

ノーベル平和賞授賞式 強気の外相VS弱気の官邸

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前原外相「ノーベル平和賞授賞式は日本にとって重みのあるもので、毎年ノルウェー大使を出席させている」。(16日、外務省。写真:筆者撮影)


 民主活動家・劉暁波氏のノーベル平和賞受賞に反発を強める中国が、日本政府に対して授賞式への出席を控えるよう要請してきた。対中関係を考慮する政府は、締切りの15日を過ぎてもノルウェーに出欠の回答を保留したままだ。

 この問題について16日の記者会見で筆者は前原誠司外相に質した。前原外相は「日本にとってノーベル平和賞というのは重みのあるものであり、毎年(駐)ノルウェー大使を出席させている。適切な対処をする」と述べ、日本は例年通り出席するとの見解を示した。

 官邸はどう判断するだろうか。菅首相は「日中関係は修復できた」などと喜ぶ始末だから、中国の要請を重く見てノーベル平和賞授賞式にノルウェー大使を出席させないこともありうる。

 「尖閣事件」では前原国交相(当時)が中国船長の逮捕を指示したのに対して、仙谷官房長官は反対した。こうした前例もある。

 もし出席させなければ、世界の笑い者となり内閣支持率はさらに低下するだろう。支持率低下の最大の原因は対中外交の躓きにあるからだ。

 菅政権を記者クラブメディアは見捨て始めたようだ。9月の代表選挙で小沢一郎元幹事長を叩く時は、まるで寄り添うかのように共闘していたにもかかわらず、今は手のひらを返したようにつれない。

 「尖閣事件」をめぐる官邸の対中外交は確かに未熟だが、トラブルの発端は中国側にあるはずだ。だが新聞やテレビニュースは中国を本気で批判しない。ツボは外してある。特派員を退去させられるのが恐いからだ。

 「天安門事件の武力鎮圧を後悔している」とするケ小平の遺言があることをスッパ抜いた某メディアの幹部は、中国大使館に呼びつけられ大目玉を食らった。イエローカードは2回続くとレッドカードとなる。

 文化大革命の現実をありのままに書いた産経新聞は実際に退去させられた。あまり好きな新聞ではないが、どの社も中国に阿るなか事実を報道した姿勢は立派だ。

 マスメディアと政権がご都合主義を続ける限り、一貫した外交はできるはずもなく、隣国から足元を見透かされる。


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posted by 田中龍作 at 23:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年10月29日

三井元検事 「検察は政権と取引をした」

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「私を(国会の)法務委員会に証人として呼んでほしい」。三井・元大阪高検検事は繰り返し述べた。(28日、衆院第2議員会館。写真:筆者撮影)


 三井環・元大阪高検検事が28日、衆院議員会館で国会議員を前に衝撃の報告をした。「検察の裏金作り」の実態を明らかにする一方で「検察は自らの不祥事を不問にしてもらうために自民党政権と取引した。『小沢捜査』もその一環だった」とする内容だ。

 三井氏は2002年、“検察の裏金”を告発しようとしたところ、マンション購入をめぐる微罪で身内だった検察によって逮捕されたのである。別件逮捕の典型例だった。

 民主党議員で作る「取調べの全面可視化を実現する議連」(川内博史会長)が、タブーとなっている検察の暗部をヒアリングするために三井氏を招いた。三井氏は以下のように語った。(太字「 」内が三井氏の話)―

 「法務省には調査活動費という予算がある。情報提供者に対する謝礼だが、それが裏に回って飲食などに使われた。全国の地検、高検、最高検、法務省すべてで。金額は年間6億円」。

 「裏金の作り方は先ず架空の情報提供者をデッチあげる。1件につき3〜5万円を支給したことにする。(裏金の年間使用額は)各地検が400万円、東京地検は3,000万円、大阪地検は2,000万円。架空の領収書は検察事務官が作る」。

 「裏金を使えるのは検事正、検事長、検事総長、法務省の事務次官、官房長、刑事局長。(裏金は)飲食、ゴルフなどに使う。年間30〜40回もゴルフに行った検事正もいた。横浜地検の検事正だ」。

 週刊誌、ネットあるいは三井氏の講演で知りえた少数の人たちは“裏金”をご存知だろう。だが新聞・テレビが一切報道しないため、検察の裏金は“表向き”存在しないことになっている。政権と検察、そして記者クラブが一体となって事件を無きものにしたのである―

 「(02年)4月18日に告発スケジュールができた。連休明けに朝日新聞が一面トップで行き、民主党の菅幹事長(当時)が法務委員会で追及する。私は国会内で記者会見を開く。(事前収録として)4月22日に鳥越俊太郎さんの『スクープ』(テレビ朝日)が取材に来るはずだった。ところが(検察に情報が)抜けてしまった。私は『スクープ』のインタビューを受けることになっていたその朝、逮捕された」。

 “口封じだ”として『スクープ』はじめ週刊誌、月刊誌は騒然となった。記者クラブメディアの新聞・テレビは黙殺した。法務・検察にとって一大事である。最高幹部は懸命に火消しに走った―

 「原田検事総長、法務省事務次官、古田刑事局長が後藤田(正晴・元官房長官)事務所を訪ね『このままでは法務・検察が潰れてしまう』と泣きをいれた。」

 中曽根政権を支えカミソリと畏怖された後藤田元官房長官が動いたのだろう。官邸はモミ消しに加担する。

 「原田検事総長と森山法務大臣は記者会見を開き『検察に裏金問題というのは存在しない』と述べた。鈴木宗男議員や保坂展人議員が(国会の)法務委員会で追及したが、政府側の答弁は「裏金は存在しない」。国民に大ウソをつき続けたのである。政権交代しても政府の答弁は同じ」。

 「政権と取引きすれば裏金問題を事件にできない。小泉政権は検察に大きな貸しを作った」

 “貸し”は後の政権にも引き継がれた。“借り”のある検察は官邸の意向に従わざるを得なかった―

 「小沢(一郎)氏の政治資金規正法違反事件をめぐる捜査は法務・検察の考えではない。大久保秘書の逮捕・起訴(昨年3月)は麻生政権が検察を利用したものだ。選挙に影響を与えるような時期に強制捜査をしないのが検察の不文律だった(にも関わらず小沢氏の秘書を逮捕・起訴した)」。

 「私を(国会の)法務委員会に証人として呼んでほしい。すべてを明らかにする」。 三井氏は幾度も繰り返した。

 郵便不正事件で主任検事が物的証拠を改ざんするという前代未聞の不祥事を起こした検察。またもや政権に大きな貸しを作った。“仙谷官邸”がこの貸しを利用しないはずがない。

 今回の検察不祥事を仙谷官房長官が知ったのは検察審査会の議決前だった。検察審査会は有権者の中から選ばれたとは言え、議論では検察・法務の影響を色濃く受ける。審査会の議決は強制起訴。仙谷氏の政敵、小沢一郎はかくして屠られたのである。


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2010年10月12日

「小沢問題」先送りで衆院補欠選挙も危うく

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「小沢元代表への対応については今後も役員会などで協議する」と記者団に語る岡田幹事長。(12日、民主党本部。写真:筆者撮影)


 民主党は12日の役員会で、自らの資金団体による土地購入をめぐって強制起訴された小沢一郎・元代表への対応を協議したが、慎重論が強く結論は先送りされた。

 この日は時あたかも衆院北海道5区の補欠選挙の告示日であった。選挙は自民党の町村信孝・元官房長官と民主党の新顔で社民党、国民新、新党大地推薦の中前茂之氏との事実上の一騎打ちとなっている。

 告示前の前哨戦では中前氏がリードしていたが、ここに来て町村氏が追い越したとの見方が有力だ。小沢氏の強制起訴をめぐる民主党の対応が影響しているものと見られる。

 公明党が学会員を町村支持で動かす大義名分も立つ。実際、学会は動いているようだ。

 補欠選挙は民主党の前議員が北海道教職員組合による政治資金規正法違反の責任を取って辞職したことを受けて行われる。それだけに中前陣営は「政治とカネ」で責められると辛い。

 「政治とカネ」で野党は国会でさらに追及を強める→連日報道される→中前氏への逆風となる。

 中前氏がもし敗れれば、「民主退潮」「自民復調」を印象づけることになり、菅政権は国会運営などで一層厳しい立場に追い込まれるだろう。

 かといって小沢氏に離党勧告を突きつけようものなら、小沢グループの反発は避けられず、党内政局の危険性を孕むことになる。菅首相はいかんともしがたいジレンマを抱えているのである。

 菅政権は記者クラブメディアを利用して小沢叩きに成功したが、今度は「小沢問題」に絡む連日の報道が政権の足元を危うくしている。皮肉という他はない。


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