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2011年03月19日

旅券求めて長蛇の列、都知事選やってる場合!?

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東京都知事選挙、候補者ポスター用の掲示板がお目見えした。(19日、東京・中央区。写真:筆者撮影)


 「東日本大震災」被災地の統一地方選挙が延期されることが特例法で決まった。問題はそれ以外の地域だ。みんなの党は「全国一律延期」を求めており、西岡敏夫参院議長もそれを支持している。政界の外でも全国一律の延期を求める声は少なからずある。

 賛否両論別れるところだが、東京都知事選挙の候補者用ポスター看板が18日、お目見えした(写真・上段)。都知事選は3月24日告示、4月10日投票だ。来週後半には選挙戦の火蓋が切られることになる。

 果たして有権者の関心は選挙に向かうだろうか。日本がかつて経験したことのない大災害に見舞われたのである。被災していなくても、この先自分の生活はどうなるか分からない。多くは不安を抱えている。

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旅券申請は3時間半待ち。入場制限で長蛇の列ができていた。(18日、東京都パスポートセンター・有楽町。写真:筆者撮影)


 福島原発の事故処理は後手に回り、政府と東電の情報開示も透明性を欠く。放射能被害を恐れて日本脱出を考える人も少なくないようだ。有楽町の東京都パスポートセンターには長蛇の列ができていた(写真・下段)。入場整理にあたる職員は「日頃の倍、15日から混むようになった」と汗だくだ。

 「お母さん、今日はパスポート取れないよ。3時間半待ちだって」。ミニスカートにブーツ姿の女性は携帯電話に向かって悲鳴をあげていた。

 「大地震・津波」「原発事故」。有権者は大きな不安に心を領されている。「新銀行東京」の失政、批判の多い「築地移転」を争点にしてほしくない石原氏は自らの強みと豪語する危機管理を全面に掲げて選挙戦を繰り広げることだろう。「震災からの復興」「災害に強い都市作り」・・・喧しいフレーズが耳鳴りになりそうだ。

 
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posted by 田中龍作 at 19:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 選挙 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月14日

石原都知事に踊らされた松沢氏、不出馬を表明

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うなだれる松沢氏=右=と鼻白む石原氏=左=。中央は上田・埼玉県知事。(14日、都庁記者会見室。写真:筆者撮影)。


 「11日の石原知事の出馬表明は晴天の霹靂、驚いた。何が起きたのか分からなかった」。松沢成文・神奈川県知事はうなだれた(写真)。ハシゴを外されるとは、こういうことを言うのだろう。

 松沢氏は14日、東京都庁で記者会見し都知事選挙(3月24日告示、4月10日投票)への出馬を取りやめることを正式に表明した。

 共同記者会見した石原都知事が鼻白みながら理由を説明する(写真)。「選挙情勢を分析した結果、(松沢氏の当選が)覚束ないことが分かった。松沢さんという友人を失っても、東京を失うわけには行かなかった。苦渋の決断だった」。

 石原氏は激しく目をしばたたかせて語った。氏が真相を明らかにする際に見せる独特の癖である―「110%引退するつもりだった。その準備もしていた。心身の限界も感じていたからね」。

 松沢氏によれば2月上旬に石原知事から「君しかいない」と後継を託されたという。今月1日、都内で記者会見した松沢氏は石原都政を継承する内容の政策を明らかにし、石原氏を褒めちぎった。すっかりそのつもりになっていたのである。

 だが、松沢氏では勝てないと見るや、石原氏は出馬に転じた。松沢氏以外が勝つようなことにでもなれば3期12年の石原都政は否定される。それだけは避けたかったのだろう。独裁者の心理でもある。

 石原氏がこだわる築地市場の豊洲への移転について筆者は質問した。

 「関東大地震の教訓に基づいて建てられた築地市場は今回の地震でもビクともしなかった。一、豊洲は地震の際、液状化現象が起き有害物質が地表に噴出すことが懸念されているが・・・」

 天井を仰ぐ石原知事。だが、この質問は途中で遮られた。今日の記者会見のテーマにはそぐわないという理由で。やはり新銀行東京と築地移転は否定されたくないのだろう。悪政を重ねてどうしようというのか。

 
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2011年03月05日

地方から公然と「菅首相退陣を求める声」

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 選挙対策で悲鳴をあげる都道府県連の幹事長らを前に伸子夫人の自慢話をする菅首相。(5日午後、民主党本部。写真:筆者撮影)


 能天気もここまできたら犯罪に近い。きょう午後、民主党本部で開かれた「全国幹事長・選挙責任者会議」での菅首相の発言だ。

内紛、TPP、消費税増税など党執行部の不手際で都道府県連は「統一地方選挙を戦えない」と悲鳴をあげている。会議は地方の不満を聞くために急きょ招集されたのだった。

だが挨拶に立った菅直人代表は、そんなことはお構いなしに伸子夫人の自慢話を滔々と語るのだった―

「家内は地元の武蔵野市、府中市で市議会議員の立候補予定者を連れて今日も歩いている。歩くといろんな反応がある。人(地元選対)に言わせると『奥さんが来ている時はこの程度で済んでるけど、自分たちだけの時はこの100倍大変なんです』・・・・・・(後略)」。

 菅代表の発言に“オイオイ”と声をあげたくなった都道府県連幹部は少なくなかったのではないだろうか。『アンタの不手際が地元選対を苦しめてるんだよ。伸子夫人も同罪だ』―こんな声が聞こえてきそうだった。

 会議が始まるまで筆者は片っ端から都道府県連幹部にインタビューした。異口同音に「統一地方選挙は厳しい」という答えが返ってきた。

 「菅さんには退陣してもらいたい。でなければ選挙は戦えない」と語るのは秋田県連の幹事長代理だ。

憤懣やる方ない同県連幹事長代理は続けた。「選挙は全滅に近い。秋田は農業県なのでTPPには猛反対だ。菅さんの統率力のなさ。官僚の言いなり。県民はもの凄く怒っている。農民(の怒り)は特に凄い。選挙で大負けして出直した方が民主党のためになる」。

秋田県は菅グループの寺田学首相補佐官の地元である。「寺田さんに叱られても今日は菅さんの退陣を求める」、県連幹事長代理は涼しい顔で話す。腹を括っているのだろう。

みかんの産地和歌山県も深刻だ。「選挙は厳しい」、県連幹事長代理は眉をしかめる。候補者が朝立ちでチラシを配っても有権者は受け取ってくれない。見向きもしてくれない、という。幹事長代理は理由を「菅さんの指導力のなさ、期待はずれ」と分析する。

愛知県は「減税日本」と真っ向からぶつかり他の地方以上に苦戦を強いられている。「選挙はめちゃくちゃ厳しい」と愛知県連幹部は顔をこわばらせた。

民主党政権が09年マニフェストに沿って経費削減を進めていたら、「減税日本」の台頭はなかったはずである。

怒りを充満させた都道府県連幹事長や選挙対策責任者らを前に岡田克也幹事長は鎮静化を図ろうと懸命だった。予算関連法案の行方、マニフェストの変更、小沢元代表の処分問題・・・。説明するだけ菅執行部の戦略のなさ、戦術のお粗末さを露呈するだけだった。

この党は秋田県連幹事長代理が言うように「選挙で大敗して出直すしかない」ようだ。



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posted by 田中龍作 at 17:11| Comment(1) | TrackBack(0) | 選挙 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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