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2010年08月17日

猛暑―熱中症からはこうして身を守る


 猛暑の中、熱中症による事故が相次ぐ。16日には都内だけで125人が救急搬送された。うち5人が重症だという(東京新聞)。全国の死者は今月8日まで118人にも上る。こうなると災害と呼ぶしかない。

 「猛暑の日こそ外に出る」のが筆者の生活術だ。「外に出る」と言っても炎天下をさまようという意味ではない。戸外には涼しい所がいくつもあるので、それをうまく利用するのだ。先ず、市役所・区役所のロビー。ここは何時間いても文句を言われない。次にスーパーなどが入る複合施設。ここは閉館自刻まで涼める。腰掛ける場所を探すのにちょっと苦労するが、うまく確保すれば楽天地だ。

 筆者は取材に行く際地下鉄に乗ることが多いが、わざと遠回りして長時間乗る。地下鉄は冷房がよく効いているからだ。

 地下鉄の山手線にあたる大江戸線はホームも冷房がよく効いている。東京メトロの赤坂見附駅のように外気と余り変わらない位に暑いなどということはない。大江戸線で目的地に行くのに逆回りで行くと長く涼める。冷房が効いた車内で30〜40分間も居眠りすれば疲れもとれ汗も引く。

 万物を焼き焦がすように照りつける太陽の下、家庭用のエアコンは効きが悪い。無理して設定温度を下げたりすると故障する。何より電気代がもったいない。

 無料で涼める場所や施設を見つけ、自宅では昼間エアコンは使わない。貧乏人が熱中症から身を守る術である。
posted by 田中龍作 at 11:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 貧困 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年01月11日

公共工事はりっぱな失業対策だった

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「正社員切り」も当り前になっている雇用情勢。公務員を除けば誰が派遣村に行ってもおかしくない御時世だ(新宿・大久保公園で。写真=筆者撮影)


 「東京都の公設派遣村の入所者が2万円支給されると無断外泊した…」。ガセまじりの情報がメディアを面白おかしく賑わしている。

 一度幣ジャーナルで紹介した2人のケースを振り返る。

 40歳の男性は、勤めていた建築会社が09年11月に倒産した。日雇いで失業保険にも入ってなかった。11月から引越しなど日雇い派遣の仕事をしながらネットカフェに宿泊していたが、12月25日からは仕事がなくなった。「公設派遣村」にたどり着いた時、手持ち金はわずか千円だった。

 同じく40歳の男性はサービス業の正社員だったが、09年の秋口、リストラに遭った。こちらも会社が失業保険に加入していなかったため、男性は解雇された後、日雇い派遣で日銭を稼いでいた。年の瀬で仕事がなくなり「公設派遣村」に。

 2人は口を揃えるように言う。「まさか自分が派遣村に来るとは考えてもみなかった。この前(08年末〜09年初、日比谷公園)の派遣村はテレビで知っていたが、あれは他人事だと思っていた」。

 「2番底」さえ懸念される景気の悪化で、331万人もが職を失っている。昨年同月比で75万人も増えた(09年11月、総務省調べ)。「正社員切り」も当り前となった。公務員を除けば、誰が派遣村に行ってもおかしくないような雇用情勢になっている。

 2人とも仕事を失って1〜2ヶ月だ。これから職を探そうという意欲は十分だ。職を失って間もない人はまだ目に力がある。

 ところが何十回応募しても採用されないと、絶望に支配されるようになる→働く意欲も日を追うごとに失せる→持ち金は尽きる→路上に弾き出される。

 ホームレスとなる理由に借金がある。就職には住所が不可欠とされる。だが住所を置くと「借金取り」に突き止められるため、止むなく路上生活を続ける。

 路上生活者の多くは、これまで工事現場で働いていた人が多い。ハローワークに行けば「介護職」を紹介されるが、人と接するのは大の苦手という人たちがほとんどだ。過酷な生活がたたって歯を失っている人も多い。これも介護職につくことにニの足を踏ませる原因となっている。

 住所がなくても、対人関係を気にしなくても、歯が抜けていても、飯場住まいで職にありつける公共工事はりっぱな失業対策だったのである。
posted by 田中龍作 at 16:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 貧困 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年11月30日

ハローワークで生活保護や住宅手当も…

 
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生活保護の手続きについて区役所の担当者に尋ねる菅副総理(右端)。左隣は湯浅内閣府参与(ハローワーク渋谷で。写真=筆者)


 派遣斬りなど突然の解雇に遭うと職、収入、住宅という生活に必要な物のすべてを失うケースが少なくない。職を求めてハローワークに並び、つなぎの生活資金を求めて社会福祉協議会に足を運ぶ。さらに困った事態となれば市町村区役場で住宅手当や生活保護申請となる――手持ち金は残りわずかしかなく空腹を抱えて役所をさまようのが現実だ。

 政府は緊急雇用対策の一環としてこれらの行政サービスをハローワーク1箇所で行う「ワンストップ・サービス」を30日、全国77箇所のハローワークで試験的に行った。

 派遣村前村長で現・内閣府参与の湯浅誠さんのアイデアをヒントにしたものだ。湯浅さんは、貧困者の居住や生活保護申請を支援するNPO法人『もやい』の活動を通じて、職を失った人が役所を「たらい回し」にされる実態を目にあたりにしてきた。

 東京・渋谷のハローワークには、湯浅さんを内閣府の一員に取り込んだ菅直人・副総理兼国家戦略担当大臣が視察に訪れた。今年も派遣村を作られては政権の失態となる。それを封じ込めるために湯浅さんを“口説いた”のが菅副総理だった。

 「ハローワーク渋谷」には渋谷、目黒区役所の福祉課、社会福祉協議会の窓口も特設された。菅氏は区役所の担当者に手続きの流れなどについて尋ねた。

 目黒区役所・福祉課の担当者は菅副総理に「(生活保護)申請者が最近はグッと増えている。にもかかわらず国からは(保護費を渡すのを)『絞れ絞れ』と言われるんですよね」とニガリ切った顔で訴えた。

 「派遣村、繰り返すまじ」。試験とはいえ政府が鳴り物入りで実施した「ワンストップ・サービス」だが、生活保護、つなぎ融資、住宅手当などについて肝心要の申請手続きはできない。「お役所仕事」の限界だ。あくまでも相談に乗ってもらえるだけである。

 「理想形の第一歩。要はセーフティーネットを途切れることのないようにすること」。湯浅内閣府参与は理想にほど遠い「役所仕事」のもどかしさに嘆息するかのように筆者に語った。
posted by 田中龍作 at 14:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 貧困 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする