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2009年10月07日

東京都が汚染土壌の証拠隠滅、裁判始まる 

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豊洲の予定地を視察する専門家会議の平田健正座長。平田座長の「慎重に…」の提言を東京都はねじ曲げた(写真=07年6月、筆者撮影)


 「由らしむべし、知らしむべからず」。都合の良いことだけ知らせ、悪いことは隠そうとする石原都政のやり口が法の裁きを受けることになった。豊洲(東京・江東区)への移転に反対する築地の仲卸業者らが、「東京都はボーリング採取した豊洲の土を廃棄しないでほしい」と訴えた訴訟の第1回口頭弁論が7日、東京地裁で開かれた。

 築地市場の豊洲移転を計画している東京都は、東京ガスの工場跡地である豊洲の土壌に環境基準を大幅に上回る毒性が含まれていると指摘されていることから、2007年〜08年に専門家に依頼して地質調査を行った。

 専門家会議と都は4,400ヶ所の地点でボーリング調査(最深7メートル、最浅30センチ)し、約600ヶ所の検体(コアサンプル)を保存した。

 日本環境学会は08年11月から今年3月にかけて口頭や文書で「採取した土の開示と保全」を要求していた。都はじらしにじらした挙句、6月25日付けで「(採取した土の)検体は廃棄する」と回答してきたのである。

 豊洲への移転に反対する築地の仲卸業者や消費者らは「検体が廃棄されれば、どの深さでどの汚染物質があるのか分からなくなる」として8月、東京地裁に廃棄差し止めの訴訟を起こした。

 これまでの書面のやりとりで東京都は「4本の検体をすでに捨てた」ことを明らかにしている。証拠を隠滅したのである。

 豊洲への移転をめぐる東京都の情報隠しは今に始まったことではない。07年5月、民主党の議員団が現地を視察した時のことだった。新市場建設課(当時)の課員が37ヘクタールもの広大な豊洲の予定地を案内するのだが、拡声器を使って「右に行って下さい、左に行って下さい」と指示した。

 筆者は「おかしいな、変だぞ」と疑った。案の定、移転問題を追及している川内博史衆院議員(現国土交通委員長)がよく通る声で「そっちじゃないでしょ!」と課員を制した。課員は「しまった」という表情を浮かべた。

 川内議員が指す方向に行くと地下水がしたたり落ちる窪地に出くわした。地下水をリトマス試験紙につけるとアッという間に紫色に変わった。ペーハー観測器は11・30(中性は7・0)を指した。

 すると東京都新市場建設課の飯田一哉課長(当時)が「検査等の行為はやめて下さい」とヒステリックに叫んだ。筆者が「なぜ(検査しては)いけないの?」と尋ねたが、飯田課長は答えなかった。これなどは序の口だった。

 「豊洲は土壌対策さえ行えば安全である」と吹聴するために東京都が委嘱した専門家会議は07年〜08年の間、現地調査を続けた。発足当初は都の方針を追認するかのような見解を示していたが、現地の土壌を知るにつれて安全性に疑問を抱くようになったのだろう。都が指定した調査期間を終える際、平田健正座長(システム工学・和歌山大学教授=当時)は「慎重を要するためにも調査はさらに続けた方が良い」とまで言った。

 ところが東京都の公式発表は「平田座長は『十分な土壌対策を講じれば安全性は確保できる』と結論づけた」であった。見事な改ざんだ。都合の悪いところは一切表には出さず、事実をねじ曲げてまで自分に有利なように誘導する。情報操作など飛び越えて、ある種「詐欺」である。

 東京都が廃棄した4本の検体(採取した土)にはどんな化学物質が含まれていたのか。いつの時点で捨てたのか。「不都合な真実」は力づくで隠す石原都政の悪業と共に明るみに出るだろう。裁判の行方が楽しみだ。
posted by 田中龍作 at 21:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 築地移転 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月24日

民主党・赤松農水相待つ官僚とハゲタカの罠

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マグロの競り市を見学する赤松大臣(築地市場で。写真=筆者撮影)


 赤松広隆農水相は24日早朝、移転問題で揺れる築地市場を視察した。赤松農水相は就任後の記者会見で土壌の毒性が指摘されている豊洲への移転について「安全性が確認されるまでは卸売り市場の開設を認可しない」と明確な方針を示している。

 視察は赤松大臣側の要望で決まったもので、コースや協議など具体的なセッティングは、農水省総合食糧局と東京都が行った。官僚ラインによる設定だ。

 築地移転をめぐっては八ツ場ダムほど長くはないが、移転を推進する東京都と移転賛成の水産業者が移転反対業者と20年間にわたって対立してきた。

 移転賛成業者らで作る諸団体には農水省OBが天下っており、この日の視察も官僚ラインで調整が進められていた。移転賛成業者らが八ツ場ダムの建設推進派住民のごとく、赤松大臣に「是非移転を」と陳情するはずだった。

 だが移転反対派の業者はこの「計画」を聞きつけた。国政の場で移転に反対している民主党衆院議員に即座に通報し、賛成業者による赤松大臣への陳情計画を潰したのである。
 「政権交代は有難いよ」。移転反対の仲卸業者は嬉しそうに微笑んだ。

 それでも「さすが官僚」と思わせる仕込みが用意されていた。肝心要の仲卸業者売場の視察はマスコミは完全シャットアウトとされた。赤松大臣は、築地市場の森本博行・場長に案内されて広大な売り場を視察するのだが、赤松大臣が立ち寄るのは移転賛成業者の店だったりした。そうとも知らない赤松大臣は名刺を渡し挨拶した。

 案内役の森本場長はれっきとした東京都職員だ。それでも作業着にゴム長靴、アポロキャップといういでたちなので、素人は「魚河岸の大将」と錯覚する。

 シャットアウトされた売場での大臣の動向を何とか把握できたのは、筆者が仲卸業者と長く懇意にしているからだ。そうでなければ官僚に都合のいいように情報操作されただろう。大メディアの記者同様に。

【ゼネコンと米投資銀行の罠】

 赤松大臣はこの後、豊洲の予定地を視察した。豊洲も大きな「落とし穴」がある。広大な新市場の土壌の入れ替え工事は、巨額な費用を要する。豊洲の場合、1300億円と見積もられている。老朽化し手狭になった全国各地の卸売り市場は、移転問題を抱える所が多い。しかも新市場予定地は過去に汚染が指摘されたケースが少なくない。それらの予定地は、すべて土壌入れ替え工事をしなければならない。

 卸売り市場の土壌の入れ替えは、ダムや高速道路の建設が激減しそうなゼネコンにとって新しいドル箱だ。今後あの手この手で赤松大臣を絡めとってくるだろう。

 もっと厄介な罠がある。築地市場の移転には世界最大の投資銀行である米ゴールドマン・サックスも絡んでいることだ。この件は国会でも追及され政府も認めている。
 
 もし「竹中・小泉」のような親米路線が再現されるようなことがあれば、ゴールドマンサックスの思う壷だ。郵政民営化に当時の自民党以上に賛成していた民主党議員が今、政権中枢にいる。
 
 築地の移転問題に限らず民主党政権はよほど用心してかからないと、いとも簡単に官僚や米金融資本(ハゲタカ)に食われてしまうだろう。
posted by 田中龍作 at 11:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 築地移転 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月18日

築地移転見直しへ、都議選で自民大敗受け

 「石原悪政」の一つである築地市場の移転が見直されそうだ。石原知事は17日の定例記者会見で、移転計画を進めている築地市場について「今更という感じもするが(現地での再整備も)検討したらいい」との考えを明らかにした。12日に行われた東京都議選で「築地の現地再整備」をマニフェストに掲げる民主党が第1党になったことを受けた記者の質問に答えたものだ。

 移転に伴う巨額な予算の承認などを考えると、「移転反対」を掲げる民党、生活者ネット、共産党が都議会の過半数を占めたことから、移転は困難な状況となった。

 東京オリンピック誘致に伴う再開発計画の思惑から、石原知事は江東区豊洲への移転を強引に進めてきた。だが、東京ガス工場跡地の豊洲は、発ガン性のあるベンゼン、神経障害を引き起こすシアンなどが環境基準を大幅に上回って土壌に含まれていることが明らかになっている。

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築地市場を視察する民主党の菅代表代行ら(07年、写真=筆者撮影)


 「食の安全」に対する庶民の関心は高く、07年の参院選・東京選挙区では「築地移転反対」を訴えた民主党候補2人が上位当選した。

 移転を強行したがっている石原知事と自公を追いこむために「考える会」は、戦略的に動いた。野党国会議員を巻き込み、都議会議員選挙でも民主党候補の選挙運動の先頭に立った。石原都政を支えてきた現職都議で元議長の内田茂氏を落選させるために、千代田区では民主候補の栗下善行氏を支援した。「考える会」の山崎治雄代表ら幹部がマイクを握り、豊洲へ移転することの危険性を訴えた。

 移転に反対してきた仲卸業者などで作る「築地市場の移転を考える会」の中心メンバーは、「(再整備も)検討したらいい」とする石原知事の発言を歓迎した。

 山崎代表は「石原知事は消費者にはかなわなかった。移転反対の民意が示された」と胸を張った。
posted by 田中龍作 at 13:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 築地移転 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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