文字サイズ

田中龍作ジャーナルはサイトのアドレスが変わりました。
新サイト最新記事 (http://tanakaryusaku.jp/



2010年12月03日

 郵政恋しの米国に嫌われる小沢、亀井氏 

写真
「怒髪天を突く」。菅政権への不信感を露わにする亀井静香代表。(11月17日、国民新党本部。写真:筆者撮影)


 「3回も合意文書を交わしておきながら約束を守れないようじゃあ、政権とは言えない!」

 独特のダミ声が国民新党の記者会見場に響いた。亀井静香代表は、憤懣やるかたない様子だ。党是とも言える「郵政改革法案」の今国会での成立が怪しくなった11月中旬のことである。亀井氏の怒髪は天を突いていた(写真)。

 そもそも亀井氏が6月に金融・郵政担当相を辞任したのは、(先の)国会で郵政改革法案が先送りされたからだった。にもかかわらず、またしても『郵政』は見送られたのである。

 亀井氏と菅直人首相は9日、「(来年)4月中の成立に向けて政府と与党が努力する」ことで合意した。だが、あくまでも『努力する』なのだ。

 菅政権の下、郵政改革法案が陽の目を見ることはない。仙谷官房長官や前原外相らが所属する陵雲会が消極的だからと言われている。特に米国とのつながりが指摘される前原氏は、同法案に全く興味がないようだ。

 一金融機関として今なお200兆円余りの資産を持つ「郵政」は米金融資本にとって大きな魅力だ。小泉政権の郵政民営化が米国の意向を受けてのものだったことは周知の事実である。

 「(当時)郵貯と簡保を合わせて300兆円あった郵政マネーが民営化されれば市中に流れる。口をぱっくり開けて催促していたのが、米国金融資本とりわけ保険会社だった」―当時、郵政担当の審議官を務めた総務官僚は、米保険会社の名前をひとつひとつ挙げながら証言した。

 郵政民営化の見直しをマニフェストに掲げて昨年の総選挙を戦った民主党は、政権を取ると真っ先に日本郵政の株式売却を凍結した。米国金融資本への流出を防ぐためだった。小沢一郎氏が幹事長として力を持っていたからなし得たことだ。これが米金融資本の逆鱗に触れた。
   
 外交・安全保障に詳しい元政府関係者は次のように解説する。「アメリカが小沢に怒っているのは、安全保障ではなく郵政なんだ」。

 亀井氏は「この亀井静香をCIAが暗殺しない限り、アメリカの言う通りにはならない」と言って、郵政民営化の見直しに政治生命をかけた。

 結果、亀井氏は菅政権で干された。小沢氏は政治的に屠られようとさえしている。

 菅政権が倒れるのは時間の問題。次期首相の最有力候補に挙げられているのが前原外相だ。いわずと知れた親米派である。年が明けると、亀井静香代表の髪はさらに逆立つことだろう。


田中龍作の取材活動は読者によって支えられています。
posted by 田中龍作 at 17:05| Comment(2) | TrackBack(0) | 日米関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月10日

「日米密約」半世紀のタブー破り岡田外相が公表 


写真
冷戦時、米空母は核を積み日本に寄港していた(写真=米軍提供)


 岡田克也外相は9日、安保締結と沖縄返還をめぐる日米間の「密約」について外務省の調査結果と有識者委員会の報告書を公表した。歴代自民党政権が半世紀に渡って存在を否定してきた『公然の秘密』を、日本外交の最高責任者が初めて認めた。

 調査対象となり存在が公認された密約は次の4件――
■1960年1月、安保改定時に交わされた核持込に関する密約
■同じく60年安保改定時に交わされた朝鮮半島有事の際の戦闘行動に関する密約 
■1972年沖縄返還時に交わされた有事の際の核持込に関する密約
■同じく沖縄返還時に交わされた現状回復補償費の肩代わりに関する密約

 岡田外相は藪中三十二次官以下、外務省幹部のほぼ全員が出席する中で記者会見し、「4つの密約」をすべて認めた。そのうえで「外交と政治への信頼を低下させるもので極めて遺憾」と述べた。

 安保が改定された60年は朝鮮戦争が休戦してわずか7年しか経っていない。沖縄が返還された72年、ベトナムにはまだ戦火が燃え盛っていた。最大野党の社会党は全盛だ。何より国民の被爆感情は強い。

 「米軍が核を持ち込む」などと言うことが明るみに出れば、政権が潰れる時代状況だった。当時の岸、佐藤内閣は「密約」としなければならなかった。

 だが1990年(厳密には89年)、冷戦は終結し米国の核戦略も大きく転換した。日本に核を持ち込む必要はなくなったのである。

 にも関わらず、歴代自民党政権は麻生内閣に至るまで「密約」を無きものとしてきた。政治の劣化と言われても仕方がない。半世紀もの間タブーとされてきた「公然の秘密」を白日の下に出しただけでも、政権交代の意味はあった。
posted by 田中龍作 at 10:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 日米関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月04日

鳩山新政権とモンスター在日米軍


写真
初顔合わせ。ルース駐日大使と鳩山代表(15日午後、民主党本部で。写真=筆者撮影)


 米国のルース駐日大使は3日、民主党本部に鳩山由紀夫代表を表敬訪問した。海のものとも山のものともつかぬ「鳩山新政権」の外交姿勢を探るにあたっての挨拶である。

 『NYタイムズ紙』に転載された「鳩山論文」に米政権が懸念を示している、と日本の大メディアが報道しているが、誇張だ。「鳩山論文」は、ブッシュ前政権を操り日本をはじめとする世界の経済秩序をムチャクチャにした市場原理主義とグローバリズムを主に批判している。むしろオバマ大統領の路線に重なる。

 米政府にとって気がかりなのは、民主党がマニフェストにも掲げている「在日米軍基地のあり方、米軍再編の見直し」だ。

 在日米軍はブッシュ前政権下で肥大した軍産複合体の影響を色濃く残す。文民政権ではコントロールできない「関東軍」のような存在である。米軍は8年間も続いたブッシュ政権でモンスター化し、最新兵器開発などのため国家予算以外に300兆円もの資金を飲み込んだ。これが市場原理主義と二人三脚で米経済を破綻に導いたという説もある。

 敗戦するとわかっていてもオバマ大統領は、米軍をアフガンから撤退させることができない。政府以上に権力を持ってきた軍産複合体をまだ掌握できていないからだ。

 在日米軍基地はアフガンに出撃する部隊の拠点である。パートナーとなる「鳩山新政権」が在日米軍を必要以上に刺激したりすると、オバマ政権の足もとが危うくなる。

 シリコンバレーの弁護士でオバマ大統領の選挙戦を資金面で支えてきたルース駐日大使は、大統領の腹心だ。オバマ氏が13日未明の電話会談に続いて間髪を入れずに自らの腹心を鳩山代表に表敬訪問に行かせたのも、今後の在日米軍の扱いを考えてのことだ。

 米国は日本を防共の砦とするため資金供与するなどして長らく保守政治家を支えてきた。1990年代後半、旧社会党が事実上崩壊し、自民党と民主党による2大保守政党制の時代に入ると資金供与までして保守政治家を支える必要がなくなった。

 次は米国に都合の良い日本の政治家を取り込み徹底的に利用した。代表例は小泉首相(当時)だ。小泉の地元での選挙を支えていたのは、極論すれば在日米軍横須賀基地だ。具体的に言うと基地に出入りする業者、米兵が落とす金で潤う商店街などだ。沖仲士を仕切っていた祖先の小泉組からの港湾利権も脈々と受け継ぐ。小泉の利権とは米軍横須賀基地あってのものだ。見返りはイラク戦争への真っ先駆けての協力だった。

 小泉とセットで利用されたのが、米金融資本の意向を反映して郵政民営化を進めた竹中総務相(当時)だ。郵政民営化に反対して総務(郵政)官僚の地位を投げ捨てた稲村公望・中央大学客員教授によれば、AIGをはじめとする米金融資本がスクラムを組んで郵政民営化の圧力をかけた。狙いは300兆円を超える郵貯と簡保の巨額資産だった。

 少なくともオバマ政権はブッシュ前政権のように日本を食い物にする必要がない。オバマ氏の選挙を支えたのはブッシュ政権のような金融資本ではなく少額のインターネット個人献金だ。

 「小泉・竹中」のように米国に利用されてきたことのない「鳩山首相」は、闇雲に追従しがちだった対米政策をCHANGEする絶好の機会を得ている。
posted by 田中龍作 at 06:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 日米関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。