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2009年08月21日

「痴漢デッチあげ部隊」はこうして嵌めようとした

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地下鉄車内(本文とは関係ありません)


 読者諸氏もご存知のように痴漢で最高裁の有罪判決を受けた経済学者の植草一秀氏は「日本の優良資産を米国に叩き売るに等しい」として郵政民営化に反対していた。痴漢事件は「郵政改革に反対するとこうなるぞ」と、権力が見せしめに行ったデッチあげとの見方がつきない。

 筆者の知人に米国の金融界の内情に精通し日米関係のいかがわしさをウェブなどで告発していたジャーナリストがいる。毎年、米国政府から日本政府に出される「対日構造改革要求」を米国側の視点から知っていた。米国政府にしてみればマークすべき存在だったのである。

 昨年11月頃のことだった。地下鉄丸の内線車内で4人組に回りを囲まれる格好になった。屈強な20代の男が2人、小ギャル風ミニスカートの女とOLのような身なりの女だ。

 電車が新宿駅に近づいた時だった。ミニスカートの女が知人の前でいきなりうずくまった。OL風の女が背中をさするように後ろについた。1人の男はプラスチックのカバーを突き破って非常ボタンを押した。もう一人の男は知人に対して、ミニスカートの女を介抱してあげて、と促すような仕草を繰り返した。

 植草氏がはめられた事件とよく似た手法だ。植草氏の事件の真相を知っていた知人はシートにへばり付いて離れないようにした。非常ベルで駅員が駆けつけて来た。だがミニスカートの女は電車から降りなかった。仮病だからである。

 前に進み出て女を介抱しようものなら痴漢にされてしまうところだった。

 話が重複するが4人組の不自然な行動を箇条書きにまとめると――

1)ミニスカートの女は向かい側のシートに座っていたのだが、いきなり知人の前に飛び出してきてしゃがみ込んだ。

2)ミニスカートの女がしゃがみ込むと、間髪を入れず残りの3人が動いた。見事なチームプレーは4人が「一つの部隊」であることを示すものだ。

3)しゃがみ込むほど体の具合が悪いのなら、駆けつけた駅員と共に救護室に向かうはずである。にもかかわらずミニスカートの女は電車から降りなかったのだ。

4)男2人は似たような体つきと目つきだった。しかも友人を挟んで知人の両脇に座った。

 事件取材の経験もある知人は、車内で最初に4人を見た時から「これはチームだな」と思わせるオーラを感じた、という。

 「デッチあげ部隊」には誤算があった。知人が米国の対日政策とそれを実現するためのダーティーな工作方法を知り抜いていたことだった。電車に乗る前に意味不明のメールが携帯電話に入ったため「何かあるな」と用心していたという。知人が持つPHS携帯はGPSの機能を持つ。工作部隊側は電話番号などからそれを割り出していたのだ。知人は軍事にも明るい。

 何より友人と赤坂見附で合流し、同じ電車に乗ったことが幸いした。「友だちがもし現場にいなかったら、痴漢にさせられてたよ。命拾いした」。知人は胸を撫でながら語った。

 事が起きた昨年11月頃はまだブッシュ政権時だった。石油と金融資本が支えていたブッシュ政権は石油利権目当てでイラクに、天然ガスパイプライン敷設のためにアフガニスタンに侵攻した。自らの欲望を満たすためには、無辜の市民が犠牲になることなど屁とも思わぬ連中だ。

 日本人ジャーナリスト一人を痴漢に仕立てあげるくらい朝飯前なのだろう。

posted by 田中龍作 at 09:56| Comment(3) | TrackBack(0) | 日米関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月23日

在日米軍司令官“政権交代後も日米軍事同盟に変化なし”

 

 在日米軍のエドワード・ライス司令官が23日、日本外国特派員協会で記者会見し「同盟国の安全を守り抜く」と強調した。現下の情勢を反映し記者団からの質問は「北朝鮮の核」と「日本の政権交代」に集中した。

 「(日本の)民主党政権で安全保障は大丈夫か」と危ぶむ声がある。だが在日米軍トップの話から見えたものは、政権交代があっても日米軍事同盟に変化はない、ということだった。


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エドワード・ライス在日米軍司令官(日本外国特派員教会で。写真=筆者撮影)


【「同盟国の安全を守り抜く」】

司令官:この9ヶ月間、世界は経済危機、北朝鮮による中・長距離ミサイルの発射など大きな変化を経験した。在日米軍も(米国の)政権交代による変化に対応している。クリントン国務長官の最初の訪問地が日本だったことからもわかるように、オバマ政権はアジア・太平洋地域の安全保障に焦点を当てている。


記者:オバマ大統領が掲げた「核なき世界」は北朝鮮のミサイルの脅威が増す今、ナイーブ過ぎる、危険過ぎるとは思わないか?

司令官:これは長期的展望を示しているのであって、一夜にして達成できるものとは考えていない。プロセスとして努力するべきものである。我々は引き続きアメリカだけでなく、同盟国の安全を守り抜く。


記者:日本では野党の民主党が次の選挙で勝利し政権を取ると見られているが、日米安保条約に影響はあるか?

司令官:日本人がどういう選択をしようとも50年間続いてきた日米(軍事)同盟は強固なままで維持されると思う。多少の変化はあっても基礎的な関係は非常に強固であるので、政権の違いはものともしないだろう。


 【民主党でも日本を守れる】

 日本と違い随時政権交代のある米国の将官は、同盟国の政権交代をさほど気にしている風ではなかった。「自民党と民主党の政策に大きな違いはない」との見方があるが、防衛政策こそ大差はない。民主党が間もなく公表するマニフェストで「インド洋上の給油を当面容認する」としているのは、典型例だ。

 前回の民主党政権であるクリントン政権を思い出す。国防長官を務めるコーヘン氏は『共和党』の政治家だった。当時、共和党と軍需産業のシンクタンクである「ヘリテージ財団」は、日本へのMD(ミサイル防衛)の売り込みに熱心だった。

 最高幹部が来日しロビー活動を繰り広げた。日本国内の世論操作を狙いマスコミにも“MDの効用”を押し売りしてくるので、うるさくて仕方がなかった。「民主党→平和→軍需産業とは決別」などというステロな図式はなかった。

 自国はもとより同盟国の政権がどう代わろうとも米軍の権益は守り抜くというのが彼らのスタンスである。別の言い方をすれば、米軍の権益を損なうような政策を同盟国にはとらせない、ということだ。

 麻生さんは「日本の安全を守れるのは自民党」と強弁するが、民主党でも十分守れる。そうさせるのが、営々として築いてきた日米関係でもある。



米軍再編と在日米軍

posted by 田中龍作 at 19:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 日米関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする