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2009年12月06日

「押尾容疑者逮捕劇」と政権交代

 
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連行される押尾容疑者を待つ報道各社カメラマン(警視庁麻布警察署前で。写真=筆者撮影)


  合成麻薬(MDMA)使用による逮捕劇第1幕から4ヵ月後、第2幕が上がった。警視庁は、銀座ホステスの女性(30歳)に合成麻薬を譲渡した疑いで元俳優の押尾学容疑者の逮捕状を取り身柄の確保を急いでいる(7日午前7時現在)。

 押尾容疑者に合成麻薬を渡したとされる友人の男についても逮捕状を取っているが、行方がつかめていない。男の身柄確保は、押尾容疑者が女性に合成麻薬を渡した容疑を固めるうえで鍵を握る。
 
 押尾容疑者をめぐっては、死亡した女性を放置した保護責任者遺棄容疑も持たれており、警視庁は同容疑での立件を視野に入れているとされる。凶行犯を扱う捜査一課が乗り出したのはこのためだ。第2幕は劇のクライマックスとなる可能性もある。

 今回の事件をめぐってはある大物政治家の息子が黒幕的存在といわれている。父親に似て知性、人間性ともお粗末だ。

 それにしても女性の死亡をめぐる警察の捜査はあまりにも慎重過ぎた。早期の幕引きを図っているとの報道もあった。警察ほど政治に弱い組織はない。予算と人事を握られているからだ。もし政権交代がなかったら女性の死亡について立件に向かわなかったことも十分考えられる。

 両親はメディアに向かい肉声で押尾容疑者の責任を厳しく問うた。両親の訴えがなかったら、相撲の時津風部屋で兄弟子のリンチにより若い力士が死亡した事件同様、闇に葬り去られる恐れがあった。

 麻布警察署前は連行される押尾容疑者を待つカメラマンで溢れかえっている。押尾容疑者の逮捕状を取った4日夕以降、各社のカメラマンは麻布警察署に張り付いている状態だ。任意同行ではなく逮捕状を取っているので、警察に引っ張ってくるのは深夜でも未明でも構わない。カメラマンはじっと我慢して待ち続けなければならない。

 ある雑誌社のカメラマンは「3交代で張り付いている」という。冬の張り番はつらい。5日午後の東京地方は冬の冷たい雨が降った。「びしょ濡れになった。寒くて死にそうだった」と眉をしかめた。

 逮捕状の執行が遅くなるほど押尾容疑者に対する世論の批判は厳しさを増す。大物政治家の圧力がかすむ位、世論が盛りあがった方がよい。

 「押尾事件」の本筋とも言える保護責任者遺棄容疑について鍵を握る友人の男の身柄が生きて確保されることを願うのみだ。

posted by 田中龍作 at 19:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 事件 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年08月20日

「酒井法子事件」で恐々とする有名人

 女優・酒井法子が覚せい財を所持、使用していた事件は酒井の逮捕から10日が経ち、マスコミ各社は「書き得」の時期に入った。

 警察による発表ネタもめっきり少なくなってきた。だが週刊誌やスポーツ紙は「のりピー」が見出しに踊れば売れる。ワイドショーは視聴率が取れる。少々のガセでも目をつぶり合おうという業界の黙約が「書き得」を生む。

 「酒井と暴力団組長との交際」「(夫の)高相容疑者と押尾学は薬仲間だった」「のりピーではなくラリピーと呼ばれていた」・・・・・・・。次から次へと面白おかしい話が飛び出してくる。ウソもあれば真実もあるだろう。

 公判が始まり検察から事実が明らかにされてくると、報道されたような事実はなかったりすることが少なくない。「書き得」はウソが多い、と思ってスポーツ紙やテレビを読んだり見たりした方がよい。

 一方、簡単に「書き得」できそうにないネタもある。出頭した酒井が持っていなかった、とされる携帯電話だ。警察は仮に携帯電話機を押収していなくても、通話とメールの交信記録はすべて把握している。電話会社のサーバーに残っているからだ。

 警察は交信記録を一つひとつ当たってゆく。事件と関わりがあると見られるものであれば、交信相手に直接会って事情を聞く。刑事を北海道であろうが、沖縄であろうが派遣する。

 交信記録からは芸能人はもとより財界人、政治家、ヤクザ、薬の売人……ありとあらゆる業界の人物名があがってくるはずだ。

 そして捜査の結果、事件と深い関係がある人物、今回の事件とは関係ないが別の犯罪をおかしている人物が明らかになる。警察はただし、事件の核心に触れる情報は外に出さない。公判を維持し有罪を勝ち取るためには「本人のみぞ知る事実」が必要だからだ(腕っこきの事件記者によってスッパ抜かれることは稀にあるが)。

 事件と関わりのない情報として「酒井と不倫関係にあった財界人、政治家」の名前なども捜査の過程で出てくる。これは外に漏れやすい。警察にとって邪魔な人物も名前をリークされたりする。

 酒井法子と付き合いのあった有名人は今頃、戦々恐々としていることだろう
posted by 田中龍作 at 13:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 事件 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年08月13日

酒井法子も踊らされた警察の覚せい剤キャンペーン

 覚醒剤を所持、使用した容疑で女優・酒井法子が逮捕された事件をめぐる報道は今日(13日)あたりから沈静化し始めたようだ。少なくとも朝のワイドショーのトップではなくなったし、量(放送時間)も減った。

 それにしても事件発生の先週から今週前半にかけての過熱報道は凄まじかった。日本中にこれしかニュースはないのか、と思わせるほどだった。

 芸能人やスポーツ選手など有名人を何がしかの容疑で逮捕した時の警察のメディア操作は今回も巧みだった。

 警察によるマスコミ対応は以下のような段取りである――

 容疑者が警察に出頭する前にクラブ加盟社に知らせカメラを貼り付かせる→逮捕の瞬間からメディアは大騒ぎとなる→容疑事実は小出しにする→騒ぎが長持ちする。

 20数年前に元阪神タイガースのエース江夏豊を覚醒剤所持、使用で逮捕した際、大阪府警は「ひき回し」までやった。ひき回しとは手錠をかけた容疑者を縄で引きマスコミの前にさらすことである。人権がうるさく言われる昨今、「引き回し」は廃止された。トップアイドルだった酒井法子が「引き回し」に遭う姿を想像できるだろうか。

 今回の事件では酒井を逮捕したのが夜ということもあり、渋谷署は「弁録(※)」を取っただけで寝させたはずだ。翌朝から本格的な取調べとなるのだが、今週前半報道されたような事実は、酒井が翌日か翌々日に自供しているものだ。

 仮に8つの容疑事実を警察がつかんだとしよう。警察は1日に1つづつ発表して8日間、騒ぎを持たせる。スッパ抜かれないように「夜回り取材」に来た記者には予め幾つか教えておいて「これは明日、あさってのうちに広報するからね」と釘を刺す。業界の仁義でこうされると書けない。

 マスコミに大きく長く扱わせることで警察が得るものは何か。「警察は覚醒剤取締りに本腰を入れて取り組んでおり、成果もあげています」。これである。有名芸能人やスポーツ選手は効果抜群のキャンペーン素材となる。

 昭和40年代後半から50年代にかけて、警察は暴力団撲滅キャンペーンを繰り広げた。格好の餌食となったのが昭和の歌姫、美空ひばりだった。山口組組員の実弟は、他の組員だったら見逃されるようなことでも逐一逮捕され、その都度マスコミに大きく報道させた。NHKは弟の事件と絡めて美空ひばりを紅白に出場させないなどした。

 酒井の逮捕劇で覚醒剤が人体に危険なクスリであることが改めて強調されている。警察庁制作のビデオを放送するワイドショーもあるほどだ。こうした報道を受けて論客と呼ばれる御仁たちがのたまうのは「覚醒剤で10年以下の懲役というのは軽過ぎる。東南アジアでは極刑だ」。

 厳罰化すれば手を出すのが怖くなり、覚醒剤犯罪は確かに減るだろう。だが暴力団の一大資金源は絶たれることになる→日本の暴力団はさらに弱体化する→チャイナ・マフィアは一層力をつける→迷宮入りする犯罪がさらに増える。

 「暴力団対策法」はヤクザを細らせることを狙った法律だが、現場の刑事は「天下の悪法」と口を揃える。警察官僚も口にこそ出さないが認めているはずだ。理由は上に記した図式が示す。

 覚醒剤取締り法違反の量刑を引き上げるべきか。酒井の事件をアドバルーンに警察は世論の動向をうかがっているはずだ。


 ※弁録
弁解録取書の略。警察・検察が逮捕した直後、被疑者から被疑事実について認否などの言い分を聴きとり、正式な調書としたもの。後日の裁判でも証拠として重視される。逮捕される者は憲法34条によって被疑事実の告知や弁護の依頼などの権利が保証されており、これに基づく。
posted by 田中龍作 at 10:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 事件 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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