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2010年11月13日

長引く不況 早まるクリスマス商戦

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早くもクリスマスツリーが点灯した(13日夕、銀座4丁目。写真:筆者撮影)


 小学校3年生の頃までサンタクロースの存在を本気で信じていた筆者は、街に「ジングルベル」の音楽が響く師走が待ち遠しくて仕方がなかった。「今年は何をサンタさんに頼もうか」と3週間余りも胸を躍らせるのだった。

 好景気に沸いていた頃、クリスマス商戦は師走の声と共にスタートしていた。ところが長引く不況で物はさっぱり売れない。百貨店が軒並み売り上げ(前年度比)を落としていることは不景気の象徴ともいえる。

 前景気を盛り上げて1円でも多く稼ぎたいのが商人の心理だ。ここ数年前から、師走を待たずしてクリスマス商戦が始まっているような気がする。

 13日、銀座・ミキモト前のクリスマスツリーに早くも灯りが点った。ミキモト広報によれば、正確な記録は残っていないが、バブル期以前は12月に入って点灯していた。バブルが弾けた頃から11月にクリスマスツリーに灯りを入れるようになったようだ。

 景気が回復し「ジングルベル」も「クリスマスツリー」も師走に入って登場するよう願うばかりだ。子供がサンタクロースを待ちくたびれないためにも。


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2010年08月06日

なぜサンマが高いのかっ!


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サンマの買付けに来た小売業者は高値に辟易としていた(6日、築地市場。写真:筆者撮影)


 大衆魚の代表格であるサンマの高値が話題を呼んでいる。スーパーで「1尾=340円」などと庶民には目もくらむような値段だ。筆者は真相を探るべく築地市場に自転車を走らせた。

 築地市場関係者によれば、昨年は「キロ=800円」だった卸値が今年は3500円だ。4倍強である。スーパーの買付け担当者は「サンマのイメージとは違う。今日は買いません!」と言い切った。店に出す時の値段は、小ぶりの物で300円、大ぶりで500円だそうだ。「高いので売れない」と恨めしげにサンマを見つめた。

 築地市場に半世紀余りも店を構える仲卸業者「山治」の山崎泰弘専務が解説する――
 「異常気象の影響で水温が高くなっている。サンマが好む水温は12〜13度C。『棒受け漁』と言ってサーチライトを海中に向けて照らし上がってきたサンマを捕獲するのだが、水深が浅い所の水温が15度以上もあるので、サンマは深い所から上がって来ない」。

 高値の最大の原因は、水揚げ量の少なさにあるようだ。

 マスコミはじめ世の中は「サンマが高い高い」と喧しいが、長年サンマを扱ってきた山崎専務は平然としている――
 「7〜8年前もこういうことがあった。『高い高い』と報道されると人は買わなくなる。そもそも『サンマ商戦』は盆明けだった。『初サンマ』と騒ぎ過ぎ。台風が来て海を掻き回せば、水温も下がって(大量に)獲れるようになるよ」。

 庶民は秋風が吹き始める頃まで我慢した方が良さそうだ。
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2009年10月09日

亀井モラトリアム落着、今明かす舞台裏

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亀井金融相は記者クラブ以外のジャーナリストにも会見を行う(金融庁大臣室で。写真=筆者撮影)


 中小・零細企業の借金返済を3年間猶予する、とした「亀井モラトリアム法案」。慎重な姿勢を見せる民主党との間の温度差をメディアに指摘されてきたが、落ち着くところに落ち着いた。9日夕、亀井金融相と連立与党は▼返済猶予期間を3年とし、期間を1年に限った時限立法とする▼融資した元金利には政府保証をつけることなどで合意した。

 平成の徳政令ともいわれる借金返済猶予は、庶民の味方なのか、はたまたモラルハザードとなるのか。亀井大臣の戦闘的なもの言いとも相俟って賛否両論が渦巻いた。 

 事の発端は今年3月にさかのぼる。民主党金融対策チームが「国民生活を守る『緊急資金繰り対策』をまとめた。この中に、資金繰りに苦しむ中小・零細企業を対象にした「元本返済猶予」があった。銀行出身の中堅議員(当選5回)の提案である。返済猶予は元本のみで利子は払う、とされていた。猶予期間は2年である。(亀井金融相案では基本的に元本、利子とも猶予。猶予期間は3年)

 中堅議員の提案に小沢代表と鳩山幹事長(両者とも肩書きは当時)は乗り気だったが、直嶋政調会長(当時)の反対でマニフェストには盛り込まれなかった。マニフェストに書いていたら今回の“騒動”はなかった。

 返済猶予は「貸付条件の変更」にあたるもので3党合意に謳われている。亀井大臣の主張の根拠でもある。「貸しはがしを防ぐための貸付条件の変更」は、いかようにも解釈できるため、混乱の原因ともなった。

 亀井モラトリアムは民主党案と比べ大きく前のめりとなった。国会会期中であれば、野党から閣内不一致と追及されていただろう。だがメディアの騒ぎとウラハラに上記の返済猶予を提案した民主党議員側は、平然としていた――。

 ベテラン秘書がニンマリと解説する。「亀井さん一流の高い目標設定だ。おかげで、ウチが主張した返済猶予は陽の目を見るよ」。もし亀井大臣がブチ上げなかったら、銀行業界あげての反対で法案化の行方は怪しくなっていたかもしれない。亀井大臣の功績は小さくないのである。

 9日昼、金融庁で持たれた記者会見が終わった後、筆者は「大臣の思う線に落ちそうですね」と水を向けた。
 「俺は最初からこうなると思ってたよ」。亀井氏は、してやったりの笑みを浮かべた。
 数時間後、亀井大臣の意向にほぼ沿った原案が連立与党から出され、亀井氏は了承した。
posted by 田中龍作 at 21:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする