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2010年05月28日

「首相の安全保障無策」 全国知事会で批判噴出


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鳩山政権の「基地政策」に不信感を露わにする仲井真・沖縄県知事(都道府県会館で。撮影:筆者)


 鳩山首相は27日、普天間基地の移設をめぐって全国の都道府県知事に米軍訓練基地の受け入れを求めたが、知事らは一斉に反発した。

 全国知事会議は鳩山首相自らが開催を要請した。首相の要請で全国知事会議が開かれるのは極めて異例。一国の総理に対するものとは思えないほどの厳しい意見が相次いだ。

 首相は韓国哨戒艇が北朝鮮の魚雷を受けて沈没した事件をあげて「アジア全般の平和を築いていくためにも日米同盟は極めて重要。(中略)…抑止力を現時点において維持していかなくてはならない」。

 高校生を騙すような御託を連ねたあげく首相は知事らに懇願した。「ぜひ日本の安全保障もためにも皆様方の故郷で『ここだったら(米軍基地を)受け入れられるぞ』という所があったら、国民の御願いとして申し上げたい」。

 “何をいまさら”という表情で沖縄県の仲井真弘多知事が発言した。仲井真知事は米兵による事件・事故が毎月平均26件も発生していることを先ず説明し、次のように話した。

 「我々が日本国民として負うべき応分の負担をはるかに超えている。これを減らしてもらいたい。(中略)…普天間はV字型に決まりかけていたのが、また戻ってくる。(それは)極めて厳しく極め遺憾ということを(23日に来沖した)総理に申し上げた」。

 仲井真知事が口火を切ると、鳩山政権の安全保障政策に関する無策を批判する意見が噴出した――

 「総理は指揮官として安全保障というものをどう考えているのか。それが分からないことには私たちも協力のしようがない」(神奈川県・松沢成文知事)

 「アメリカがマリーン(海兵隊)も含めて日本を守ってくれるのか、(総理を指差しながら)あなた方は確かめてもらいたい」(東京都・石原慎太郎知事)

 「(我々)自治体に御願いするのであれば安全・安心の理念を示してほしい」(広島県・湯崎英彦知事)

 受け入れ拒否一色のなか、大阪府の橋下徹知事だけが前向きの姿勢を示した。「大阪府民は沖縄の基地負担にただ乗りしている。できる限りのことをしたい」。関西空港で米軍の訓練を受け入れることにより巨額の赤字を解消しようという橋下知事の下心ものぞく。

 首相は、知事らのまるで艦砲射撃のような批判を黙々とノートに書き留めた。首相が退席した後、「普天間基地の移設及び沖縄県の負担軽減について」と題する知事会声明の文面が検討された。そこでも首相の安全保障政策のお粗末さに対する批判が止まらなかった―ー

 「抑止力が本当に機能しているか、(首相の)今の説明では分からなかった。本人が分からないものを県民に押し付けるわけにはいかない」(新潟県・泉田裕彦知事)

 「今日のあの話で日本の安全保障はどうあるべきか、何ら議論していないのに、感覚的なものだけでは辛いものがある」(富山県・石井隆一知事)

 全国知事会の麻生渡会長(福岡県知事)の総括が現状をよく表していた。「(普天間移設は)蛇行した。そして沖縄の人々を傷つけた。政府は一貫した立場でやるべきということを強調したい」。

 「辺野古沖」「訓練基地の一部を徳之島に移設する」と明記する日米合意の共同発表を翌日に控えての全国知事会招集だった。知事らに米軍基地の受け入れを頼むには、あまりに遅すぎたと言わざるをえない。2学期が始まる前日に夏休みの宿題に着手した小学生に等しい。
posted by 田中龍作 at 02:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 沖縄 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月25日

普天間―「玉砕するな!」と社民党を諌めた亀井大臣の戦局観


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辺野古海岸。鉄条網の向こうは米軍の敷地だ(撮影:筆者)


 8ヶ月に渡って迷走を重ねた米軍普天間基地の移設問題は、現行案の辺野古周辺に戻ってしまった。社民党には連立政権からの離脱を主張する勢力があるが、これに対する亀井静香金融・郵政担当相の諌め方がさすがである。

 亀井氏は独特のダミ声で「(辺野古への移設は)実現するはずがないことで連立離脱と言って玉砕するのはナンセンスだ」。政界きってのケンカ上手と言われる亀井氏は戦局を読んだうえで、旧日本軍のような負け戦は止めろと説いているのである。

 亀井氏が見抜いている通り辺野古への移設は、現状を踏まえる限り不可能だ。辺野古沿岸を埋め立てるのは知事の認可が要るのだが、仲井真弘多知事はサインしないものと見られている。

 もともと仲井真知事は06年の知事選で辺野古への移設容認を掲げて移設反対の候補を破り当選した。だが鳩山首相が昨夏の総選挙で「最低でも県外」などと言って県民を煽ったことで、県民世論は「辺野古反対」にほぼ一色に染まってしまった。仲井真知事がサインなどできる状態ではなくなってしまったのだ。

 11月には沖縄県知事選挙が控えているが、「辺野古容認」を掲げようものなら落選は免れまい。寝た子を起こしてしまった鳩山首相の罪は重い。第一、米国も地元の同意が必要との条件をつけている。

 「鳩山後、問題を白紙に戻し新首相の下で辺野古移設をやり直す」というシナリオが、連休頃までは永田町・霞ヶ関にあった。ところが鳩山政権が地元を乱れた麻のごとくこじらしてしまった結果、誰が新首相となっても辺野古への移設は困難な状況となってしまった。亀井大臣の言うように「実現するはずがない」のだ。

 社民党は「玉砕するな」より「玉砕を急ぐな」である。
 
posted by 田中龍作 at 15:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 沖縄 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月18日

普天間迷走で勢いづく自民国防族


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鳩山首相に届けとばかりに安全保障論で熱弁をふるう石破茂・元防衛相(17日、ホテル・ニューオータニ。撮影:筆者)


 米軍普天間基地の移設をめぐる鳩山政権の迷走は目を覆うばかりだ。地元対策も場当たり的でお粗末だが、鳩山首相の口から耳を疑うような発言が飛び出した。「学べば学ぶほど抑止力の重要性を知った…」。安全保障のイロハも知らない人物に一国のリーダーが務まるのだろうか。大方の国民は唖然とした。

 鳩山首相の失態で勢いづいているのが自民党の国防族だ。「普天間基地」の移設が決まった1996年の日米合意から辺野古のV字型滑走路に落ち着くまでの苦難の道のりを熟知している。テレビの討論番組によく引っ張り出されるが、国防の現場を知らない議員と比べればはるかに説得力がある。

 普天間移設に象徴される安全保障は、参院選では鳩山民主党に対する最大の攻めどころとなる。別な言い方をすれば安全保障は民主党の最大の弱点だ。

 世論調査で自民党の支持率が民主党を上回った社もある。国防族の論客は夏の選挙戦で、引っ張りダコとなるだろう。

 17日、都内のホテルで国防族を代表する論客の石破茂・元防衛相が政治資金パーティーを開き怪気炎をあげた。

 「合衆国は日本を防衛する義務を持つが、日本は合衆国を防衛できない。その代償として日本は基地を提供しなければならない。(民主党、社民党は)国外、県外と言ってるが、合衆国の海兵隊員が沖縄にいるのは、韓国、台湾、フィリピンにいるアメリカ人を救出するためだ。どこにいてもいいというものではないっ!」。石破氏は官邸の鳩山首相に届けとばかりに声を張り上げた。

 この日は沖縄県議会議員らが徳之島を訪れた。沖縄の負担軽減を求めるために地元3町長に会おうとしたが、会えたのは徳之島町の高岡秀規町長と町議会議員だけだった。

 沖縄県議会議員らは自衛隊基地のある九州の自治体も訪れ、海兵隊の訓練の受け入れを求める予定だ。

 今回の迷走劇を日本全体で安全保障や基地問題を考える格好の機会としてほしいものである。
posted by 田中龍作 at 00:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 沖縄 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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