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2011年04月16日

「原発止めろ、菅を止めろ」市民デモ

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自家製のプラカードを手にデモに参加する家族連れ。(16日、原宿駅前。写真:筆者撮影)


 東電福島原発事故処理の不手際を国会でも追及された菅首相。その後も原発に関する無知蒙昧ぶりをさらけ出し国民を唖然とさせている。

 “このままでは菅首相と共に日本は沈没する” 危機感を抱いた市民が16日、渋谷でデモを行った。福島原発事故で首相の責任を問う大がかりな抗議行動はこれが初めてだ。

 埼玉県久喜市から参加した男性(60代・年金生活者)は『原発のない郷土を子供たちに』のプラカードを持つ。裏返すと『菅総理も原発もいらない』。

 男性は「汚れた郷土を子供たちに残してはならない。欲の皮がもたらす価値観を変えなければならない」と語った。菅首相の権力欲が今回の事故をここまで大きくしたことを怒っているのだ。

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原発反対」と「菅退陣」を求めるデモ隊は長蛇の列となった。500〜600人が参加した。(16日、原宿駅前:筆者撮影)


 震災のドサクサに紛れて『復興税』『消費税増税』を打ち出す菅政権に抗議する男性(50代・神奈川県在住)も参加した。男性は「増税より先にやることがあるだろう」と語気を強めた。行政の無駄使い削減などをウヤムヤにしょうという菅内閣の姿勢に我慢がならない様子だった。

 『地震国・日本に原発はいらない』のプラカードを掲げる女性(60代)はかつて柏崎に住んでいたことがある。女性は「子供を守らなきゃ」と話す。

 「原発止めろ、菅を止めろ」「原発事故は菅直人の人災だ」・・・シュプレヒコールが渋谷の街に響いた。

 『反原発デモ』は全国各地に広がっており、今週末は東京、大阪、福岡、新潟などで催される。


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posted by 田中龍作 at 17:11| Comment(1) | TrackBack(1) | 災害 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月15日

原発事故 密室で進む補償の枠組み

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原子力損害賠償紛争審査会。福島県出身女性の猛抗議が実り筆者は撮影できた。(15日、文部科学省。写真:筆者撮影)


 チェルノブイリと並び世界原子力史上最悪となった東京電力・福島原発事故。農漁業はじめ住民生活への損害賠償の補償金は数兆円にも上る可能性がある。

 補償の枠組みを決める原子力損害賠償紛争審査会の第1回会合が15日、開かれた。大方の予想通り密室でコソコソと進められていた。

 まず委員10人の人選は誰がいつ、いかなる理由で決めたのか分からない。中には御用学者と言われるセンセイもいる。

 事務局は文科省が務める。文科省は「エコでクリーンな原発」を呼びかけるポスターコンクールを開き小学生を洗脳していた役所である。

 「紛争審査会が15日に開かれる」と告知されたのが2日前のことだ。しかも傍聴席は50席しかない。筆者は同日開かれた枝野官房長官の記者会見で「こんな大事なことを密室で決めるのか?」と質した。

 枝野官房長官は「被災者のためにも早く開かなければならなかった。開催の直接の権限は文部省が持つ」と説明した。

 傍聴席は記者クラブが中心を占め、次に証券会社、ファイナンス会社、東電などが並んだ。たまたま抽選にあたった善良な市民は極々わずかだ。

 証券会社が出席しているのは、どれだけの補償を東電が負うかによって株価に影響するためだ。ファイナンス会社には米ハゲタカも含まれていると指摘する元政府関係者もいる。東電の死臭を嗅ぎつけているのだろうか。

 そこには被災者の生活再建を考える視点はない。事故原因がそうであったが、補償もまたカネ儲けが最優先だ。

 紛争審査会の会場となった文部科学省のロビーでは福島県出身の女性が「福島県民を傍聴させないのはおかしい」として抗議し、一時騒然となった。

 
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2011年04月14日

 秘密がいっぱい、東電柏崎原発の緩い災害訓練 〜その2〜

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訓練用・中央制御室。電源喪失を想定したはずにもかかわらず、すぐに非常用電灯が点いた(11日、柏崎刈羽原子力発電所。写真:筆者撮影)


 “福島原発で起きた過酷事故を想定した訓練”――そう信じて東京からノコノコ出かけて行った筆者が愚かだった。

 前項でも少し触れたが、訓練用中央制御室ではすぐに非常用電源に切り替わり電灯が点いた。福島の事故は非常用電源も落ちたのである。筆者が報道担当者にそれを指摘しても、彼は何食わぬ顔だ。

 福島の教訓を活かそうという緊張感などかけらもなかった。訓練のメインイベントは電源車が出動する電力供給だった。

 東電社員たちが指差呼称で確認しながら電源車から延びるコンセントを原子炉建屋のプラグに差し込む。一見キビキビした動作だ。報道陣のカメラが群がった。

 全電源喪失は確かに過酷事故だ。だがワンノブ・ゼムに過ぎない。燃料棒がむき出しになることもある。チェルノブイリ事故のように制御不能に陥ることも想定しなければならない。

 制御棒が入らなければ核反応が止められなくなり、制御不能となる。核が暴走し環境に高濃度の放射性物質を撒き散らす事態となるのである。

 訓練で報道陣に同行した新井史朗・副所長に尋ねた。「苛酷事故は電源喪失だけではないですよね?」

 エンジニア出身の新井副所長は質問をかわした。「停める、冷やす、封じ込める、ですからね」。

 柏崎刈羽原発のすぐ沖には活断層が横たわる。地震が起きると刈羽村は大きく揺れると言われるのはこのためだ。揺れが大きかったり縦揺れが加わったりすると制御棒は入りにくくなる。入らなくなることもある。制御不能となり臨界にまっしぐらだ。

 2時間半に及ぶ災害訓練が終わり、地元記者クラブが新井副所長にぶら下がった。

「総括は?」

「手順通りにホースが接続されたかなど細かいところをチェックできて意義あるものとなった」

「電源車が機能することが分かり手ごたえを感じたか?」

「感じた・・・」

 訓練は電源喪失のみを仮定したものだった。あげくに電源が落ちても非常用電源にすぐ切り替わった。電源喪失ではないのだ。こんな優しい苛酷事故は万にひとつもありえない。

 監視するはずの報道機関も東電とズブズブだ。

 人間の制御が効かなくなる危険性を孕む怪物。それが原発なのである。飼い主は怪物を躾けきれない。監視役は飼い主に注意しない。怪物はまた暴れるだろう。

 東京電力の清水正孝社長は13日の記者会見で「柏崎刈羽では安全対策をしっかり行っています」と大見得を切った。

 筆者はすかさず清水社長のウソをあばいた。「私はおととい(11日)、柏崎の災害訓練を見てきましたけど、実に緩い訓練でしたよ」。清水社長は顔色を失った。

この会見で清水社長は原発に関心のある人たちが腰を抜かすような発言をした。運転休止中の柏崎刈羽原発3号機について「運転を再開したい」と意欲を示したのである。

 3号機は07年に発生した中越沖地震で被災した後、ずっと点検中のままだ。昨年12月には制御棒の誤挿入(事故)が起きており、原子炉が傷んでいるのではないかと指摘する向きもある。

 原子炉の傷みを放置したまま運転を再開すれば大事故の発生は必至だ。怪物を扱っているという認識のない人たちに任せていたら、日本は怪物に滅ぼされることになるだろう。

      

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posted by 田中龍作 at 21:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 災害 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする