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2011年04月14日

 秘密がいっぱい、東電柏崎原発の緩い災害訓練 〜その2〜

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訓練用・中央制御室。電源喪失を想定したはずにもかかわらず、すぐに非常用電灯が点いた(11日、柏崎刈羽原子力発電所。写真:筆者撮影)


 “福島原発で起きた過酷事故を想定した訓練”――そう信じて東京からノコノコ出かけて行った筆者が愚かだった。

 前項でも少し触れたが、訓練用中央制御室ではすぐに非常用電源に切り替わり電灯が点いた。福島の事故は非常用電源も落ちたのである。筆者が報道担当者にそれを指摘しても、彼は何食わぬ顔だ。

 福島の教訓を活かそうという緊張感などかけらもなかった。訓練のメインイベントは電源車が出動する電力供給だった。

 東電社員たちが指差呼称で確認しながら電源車から延びるコンセントを原子炉建屋のプラグに差し込む。一見キビキビした動作だ。報道陣のカメラが群がった。

 全電源喪失は確かに過酷事故だ。だがワンノブ・ゼムに過ぎない。燃料棒がむき出しになることもある。チェルノブイリ事故のように制御不能に陥ることも想定しなければならない。

 制御棒が入らなければ核反応が止められなくなり、制御不能となる。核が暴走し環境に高濃度の放射性物質を撒き散らす事態となるのである。

 訓練で報道陣に同行した新井史朗・副所長に尋ねた。「苛酷事故は電源喪失だけではないですよね?」

 エンジニア出身の新井副所長は質問をかわした。「停める、冷やす、封じ込める、ですからね」。

 柏崎刈羽原発のすぐ沖には活断層が横たわる。地震が起きると刈羽村は大きく揺れると言われるのはこのためだ。揺れが大きかったり縦揺れが加わったりすると制御棒は入りにくくなる。入らなくなることもある。制御不能となり臨界にまっしぐらだ。

 2時間半に及ぶ災害訓練が終わり、地元記者クラブが新井副所長にぶら下がった。

「総括は?」

「手順通りにホースが接続されたかなど細かいところをチェックできて意義あるものとなった」

「電源車が機能することが分かり手ごたえを感じたか?」

「感じた・・・」

 訓練は電源喪失のみを仮定したものだった。あげくに電源が落ちても非常用電源にすぐ切り替わった。電源喪失ではないのだ。こんな優しい苛酷事故は万にひとつもありえない。

 監視するはずの報道機関も東電とズブズブだ。

 人間の制御が効かなくなる危険性を孕む怪物。それが原発なのである。飼い主は怪物を躾けきれない。監視役は飼い主に注意しない。怪物はまた暴れるだろう。

 東京電力の清水正孝社長は13日の記者会見で「柏崎刈羽では安全対策をしっかり行っています」と大見得を切った。

 筆者はすかさず清水社長のウソをあばいた。「私はおととい(11日)、柏崎の災害訓練を見てきましたけど、実に緩い訓練でしたよ」。清水社長は顔色を失った。

この会見で清水社長は原発に関心のある人たちが腰を抜かすような発言をした。運転休止中の柏崎刈羽原発3号機について「運転を再開したい」と意欲を示したのである。

 3号機は07年に発生した中越沖地震で被災した後、ずっと点検中のままだ。昨年12月には制御棒の誤挿入(事故)が起きており、原子炉が傷んでいるのではないかと指摘する向きもある。

 原子炉の傷みを放置したまま運転を再開すれば大事故の発生は必至だ。怪物を扱っているという認識のない人たちに任せていたら、日本は怪物に滅ぼされることになるだろう。

      

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posted by 田中龍作 at 21:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 災害 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月13日

東電清水社長会見「産・官・学・報の癒着」白日に

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「いけしゃあしゃあ」と答える清水孝正社長。悪びれる風もなく「一日も早く」を連発して追及を交わした。(13日、東京電力本店。写真:筆者撮影)


 テレビでひたすら「原発は安全だ」「電力供給に必要だ」と言い張っていた御用学者たち。彼らに電力会社が多額の金銭を提供していたことがネット上で話題になった。東京電力の清水孝正社長は13日の記者会見で大学研究室への金銭提供を認めた。フリージャーナリストの中島みなみ氏が引き出した。

 東電はこれまで「(公益社団法人)土木学会が打ち出した津波の基準にもとづいて原発の耐性設計をしてきた」と主張してきた。

 だが、土木学会(原子力土木委員会・津波評価部会)は、東電はじめ全国電力会社の現役社員が委員を務める。学識経験者として委員を務める大学のセンセイたちは東電から金銭提供を受ける。

 中島氏はこれらの事実をあげて清水社長を追及した。「金銭援助を受けていれば意思決定に影響するのではないですか?」と。

 清水社長は「大学研究室から要請があり資金提供した」と認めたうえで「意思決定には影響ない」と否定した。“いけしゃあしゃあ”とはこのことである。

 象牙の塔ばかりではない。電力会社が経産官僚の天下り先になっていると指摘されてきたが、資源エネルギー庁の石田徹前長官が1月に東京電力の顧問に就任しているのである。
枝野官房長官は13日の記者会見で「法律上天下りに該当するかどうかに関わらず、社会的に許されることではない」とコメントした。

 清水社長の記者会見(13日、東電本店)で筆者は東電の「お詫びCM」について触れ、「これから補償で多額の費用を要する。CMに使うカネがあったら被災者への補償に向けるべきではないか?」と追及した。清水社長は「検討中」としか答えなかった。

 東京電力は多額の広告費でマスコミを、研究助成金で大学研究室を、天下り受け入れで政府を絡め取ってきた。新聞・テレビは長きにわたって国民の頭に「原発は安全」「電力供給に必要」と刷り込み、政府は東電の事故隠しなどを目こぼししてきたのである。

 清水社長の記者会見はその構図を改めて白日の下に曝け出した。

      

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posted by 田中龍作 at 21:56| Comment(2) | TrackBack(0) | 災害 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月12日

秘密がいっぱい、東電柏崎原発の緩い災害訓練〜その1〜 

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免震重要棟に設けられた災害対策本部〜訓練用〜 。(11日、柏崎刈羽原子力発電所。写真:筆者撮影)


 東京電力・柏崎刈羽原子力発電所。7基の原子炉すべてを稼働すると821・2万kwを発電する世界最大の原子力発電所だ。原子炉とタービンは3分の2が地下に潜る。それでも、原子炉とタービンを覆う建屋は巨大なビル群だ。原発の怪物ぶりに改めて驚かされる。

 巨大な原子力発電所は同時に巨大な秘密の塊でもあった。11日、同原発の災害訓練を取材した。地元記者クラブ以外は筆者とフリーカメラマン(2人)の3人だけだった。

 正門前のサービスセンターから迎えのバスに乗ると広報担当者から諸注意があった。「指定された場所以外では撮影しないでください。バスの中からの流し撮りもできません。守ってもらえない場合は退所して頂きます」。

 訓練は福島原発のように過酷事故が発生した場合を想定したものだった(はずだった)。

 訓練用の集中制御室に案内された。電源喪失した際の訓練が行われていた。一瞬、電灯が消えて真っ暗になるが、すぐに非常用電灯がともり制御室は仄明るくなった。

 東電の報道担当者は「非常用電源に切り替わりました」と説明した。

 「福島の場合は非常用電源も落ちたんですよねえ?」と筆者が向けたが、報道担当者からは「ええ」としか言葉が返ってこなかった。“東電には過酷事故の認識はあるのだろうか?” 首を傾げざるを得なかった。

 集中制御室の雰囲気を撮影するために、計器をアップサイズで撮ろうとした。途端に「写さないで下さい」と報道担当者が鋭い声が浴びせてきた。計器は訓練用であるのにもかかわらず、だ。

 原子炉建屋の遠景撮影が許可された。報道担当者の目が光った―「今(建屋入口の)扉が(フレームに)入ってましたね」。

 カメラのリプレイ画面を見ると扉がかすかに映っている。「使いませんから」と筆者。

 報道担当者は「削除して下さい」と容赦なかった。

 軍事施設ならともかく発電所は民生用施設である。テロを警戒して写真を撮らせないのは理解できる。だが、そこまで危険な民生用施設を作る必要があるのだろうか。

 柏崎刈羽原発のわずか数百メートル沖では海上保安庁の巡視船が警備にあたっていた。24時間体制だという。

             〜つづく〜


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posted by 田中龍作 at 10:08| Comment(1) | TrackBack(1) | 災害 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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